太陽系外縁に木星級の天体が存在する可能性
Wired Scienceの記事から:
"Dark Jupiter May Haunt Edge of Solar System" (By Lisa Grossman, November 29, 2010)
John MateseとDaniel Whitmireという二人の天文学者が,太陽系の外縁部に木星級の天体が存在するのではないかという説を唱えている。
多くの彗星の起源は,いわゆるオールトの雲にあると言われている。銀河系の重力やオールトの雲の近くを通過する天体の影響でオールトの雲の雪玉がはじき出され,彗星のコアとなるのだと言う。
で,先の二人が過去10年間に観測された彗星の軌道を検討したところ,80パーセントは銀河系の重力によってオールトの雲からはじき出されたものだが,残り20パーセントは木星級の天体の影響によってはじき出されたものではないかと推測されるということである。
記事ではかつて唱えられていたネメシス説(参考)も取り上げている。これは,太陽から1〜2光年離れたところに暗い褐色矮星または赤色矮星,通称「ネメシス(人を罰する神)」が存在し,約3000万年ごとにオールトの雲から彗星を飛び出させては,地球にぶつけ,生物の大量絶滅を引き起こしているという説。だが,多くの天文学者はこの説を支持していないのが現状である。
しかし,3000万年ごとに大量絶滅を引き起こす「ネメシス」はいなくとも,ネメシスの姉妹で,性格ははるかに良い,「テュケー(幸運の神)」はいて,オールトの雲を揺さぶって彗星を発生させているんじゃないか?というのが今回の説である。
いまのところ,「木星級天体」は仮説にすぎず,WISE(広域赤外線探査衛星)による探査結果を辛抱強く待つしかないだろうということで記事は締めくくられている。
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