【尖閣諸島問題】中国による日米分断策【遠交近攻】
中国がレアアースの対日禁輸策をとるという情報が流れている。元ネタはニューヨーク・タイムズ電子版:
「中国:米紙「レアアース対日禁輸」と報道 商務省は否定」(毎日新聞、2010年9月23日)
"Amid Tension, China Blocks Vital Exports to Japan" (New York Times, September 23, 2010)
中国商務部は否定しているようだが、公式発表と実態が異なるというのは中国ではよくあること。実質的に禁輸に踏み切る可能性はある。
中国は日本に対する圧力を高める一方で、アメリカに対しては宥和的姿勢を示し始めている、例えば:
「中国:温首相がゲーツ米国防長官の訪中を招請」(毎日新聞、2010年9月23日)
これは、米国による台湾への武器輸出に怒った中国が、米国防長官の訪中を延期していたのを、ここにきて急に解除するという話。露骨な遠交近攻策である。
だが、この遠交近攻策、完ぺきではない。米中の間には「人民元切り上げ問題」という大問題が転がっているからである。これは日銀の介入による円高抑制に対して米国が不快感を示したとかいうレベルの話ではない。米国にとっては円高なんかよりも人民元高の方が大問題である。米下院では人民元切り上げを求めて、制裁法案が採決される見通しである。
いまのところ、尖閣諸島問題に対して、米国は日中の2カ国に任せるという静観の姿勢を示しているが、人民元切り上げ要求によって、米中対立が激化すれば、一見関係ないように見える尖閣諸島問題にもなんらかの影響が出るかも?
【2010年9月25日加筆】
結局,船長は釈放されてしまったわけで・・・
本記事では中国の外交策を「遠交近攻」と呼んだが,毎日新聞のある記事によると,台湾では中国の外交策を「軟土深掘」と呼ぶそうである.軟らかければどんどん掘って,硬ければ方向を変えて掘り続けるという.
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