風雲急を告げる中東情勢
今月の21日にイランのブシェール ブーシェフル原発に核燃料が装填される。それを阻止するべくイスラエルが攻撃を加えると言う情報が流れている:
"Will Israel Strike Iran This Week?" (The Right Perspective, 2010年8月16日)
アメリカはこれまでブシェール ブーシェフル原発の稼働に反対の姿勢を示してきたが、ロシアが核燃料の装填と搬出に責任を持ち、イランに軍事転用させないということで、容認する姿勢に転じた。
だが、イスラエルはブシェール ブーシェフル原発の民生利用に疑念を持っているようだ。
同じイスラム国家ではあるが、宗派も政体も異なり※、イランと対立しているサウジアラビアはイスラエルによるイラン攻撃を容認しているとの情報も2ヶ月前に出ている:
"Saudis OK Israel For Attack On Iran Nuke Sites" (The Right Perspective, 2010年6月13日)
※ イランはシーア派12イマーム派で共和制、サウジアラビアはスンナ派ワッハーブ派で君主制。
イスラエルによる攻撃がある、という情報にどのくらい信憑性があるのかわからないが、イスラエルは1981年にイラクの原子力発電所(建設中)を爆撃したこと(イラク原子炉爆撃事件)があり※※、国際的な非難を浴びようと、やるときはやる国であるので可能性はゼロではない。
※※ あと2007年にはシリアの北朝鮮製の原子炉を攻撃した。
中東情勢が危ういと見てか、ハーバード大の基金を運営する会社がイスラエル企業の株を全て手放したという情報もある:
"Harvard University fund sells all Israel holdings" (Citizens for Legitimate Government, 2010年8月17日)
The Atlantic誌9月号の記事:
Jeffrey Goldberg: "The Point of No Return" (The Atlantic, 2010年9月)
では
- 今後1年ぐらいのうちに経済制裁・政変・西側情報機関の暗躍などによってイランが核の保有をあきらめる可能性があるが、現時点でオバマ政権がそれに取り組む可能性は低い
- むしろ、来春、イスラエルによるイラン核施設への爆撃が行われる可能性が高い
ということが述べられている:
もちろんそうなったら、中東の状況はもちろんのこと、世界経済も破滅的な結果に至る。しかし、イランの核保有というのはユダヤ民族にとってヒトラーなみの脅威であるから、誰かがイランの核保有をストップさせない限り、イスラエルが核施設爆撃に踏み切る可能性は大きいというのである。
同記事によれば、オバマ大統領は行動こそ起こしていないが、本件の重要性を認識している、ということだ。そして、オバマ政権は「イスラエルによるイラン核施設攻撃を防ぐ最良の方法は、アメリカによるイラン核施設攻撃の可能性が現実味を帯びること」だと考え、意図的にリスクを増しているように見えるという。本当にそうかどうかはわからないが、そうだったらかなりの高等戦術。
日本ではあまり報道されないが、かなりの危機なので、読者諸氏は中東に注目されたし。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- アフガニスタンからネパール人救出中(2021.08.18)
- カブール落つ(2021.08.16)
- デモクラシーの正統性と社会経済システムの正統性(2021.02.10)
- 奴隷商人にして篤志家の銅像をブリストル港にポイ捨て(2020.06.08)
- OECDの予測値がえらいことに|Japan hardest hit!(2020.04.09)
コメント