折口信夫(おりくち・しのぶ)『死者の書』を読む
今年の5月に岩波文庫に入った折口信夫(おりくち・しのぶ)の代表作『死者の書』を読んだ。過去2回ほど旧版・折口信夫全集(中公文庫)で読んだので、今回は3回目。
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カバー絵が『死者の書』初版のカバー絵「オシリスの霊魂」からとられていて、非常に良い。
現代語訳になったので、非常に読みやすいけど、内容は複雑。過去2回読んだときよりはわかるようになったかどうか不明。
物語は2重構造で、次の2つの話が折り重なっている:
- 持統女帝に処刑されて二上山に葬られた大津皇子(滋賀津彦)が雫の滴る石棺の中で目覚め、自らの状況を嘆き、藤原氏の娘、耳面刀自(みみものとじ)に呼び寄せようとする
- 藤原南家の郎女(中将姫)が二上山の峰の間に現れた阿弥陀仏に導かれ、二上山麓の当麻寺に身を寄せ、蓮糸で曼荼羅を作成する
このほか、途中に大伴家持が登場して、当時の世情を明らかにする役割をしている。
大津皇子と藤原南家郎女が何で関係するのか、ということであるが、作品中の登場人物、当麻語部媼(たぎまのかたりべのおみな)の話からすると、大津皇子の亡霊が郎女を耳面刀自と見なして二上山に呼び寄せ、郎女は大津皇子を山越しの阿弥陀と見なして引き寄せられた、ということになる。
「した した した。」(墓の中の水の滴る音)、「ほほき ほほきい ほほほきい―。」(鶯の鳴き声)、「つた つた つた。」(闇の中の足音)。これらのオノマトペは折口独特のものであり、強烈に記憶に残る。折口信夫の言語感覚は尋常なものではない。
◆ ◆ ◆
今回紹介した『死者の書』は青空文庫で読むことができる:
「死者の書 (新字新仮名、作品ID:4398)」
「死者の書 (旧字旧仮名、作品ID:24380)」
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