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2010.07.30

日本も半大統領制を採ったらどうかと

日本もフランスの如く、半大統領制=大統領・首相制を採って、内政と外交の役割分担をしたらどうかと思う。

そう思った理由は以下の通り。

  ◆   ◆   ◆

このごろは毎年のように首相が交代している。

サミットに出席する日本の代表の顔が毎回違うということで、諸外国は呆れていることだろう。同盟国アメリカも隣の大国中国も、誰と交渉したらいいのかと悩むのを通り越して、もはや日本を無視する方向に進んでいるのではなかろうか?

毎日新聞が7月24~25日に行った世論調査では、8割の人が菅首相の続投を支持しているが、これは、日本の代表者をコロコロと変えるな、という一般の意識の現われだろう。

とはいえ、政権運営が支持されていないというのも事実である(内閣支持率と不支持率が拮抗)。国民の支持を得られるように内政を立て直すことは喫緊の課題である。

で、思ったのが、長期的な関係を維持するべき外交を大統領が、国民の反応を見ながら即応するべき内政を首相が担当するという、半大統領制の採用である。もちろん憲法が変わらない限り、これは実施できない。

国内では毀誉褒貶相半ばする小泉元首相が海外では強い印象を与えたのは、その髪型もさりながら、近年まれな長期政権だったからだろう。安倍ちゃんから菅さんまで、よその国の外交官が覚えているか、怪しいものである。

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2010.07.29

【情けない英雄たち】『カレワラ物語』

カレワラ」は19世紀にエリアス・リョンロートによってまとめられたフィンランドの民族叙事詩。カレワラというのは英雄の地という意味であり、フィンランドを指す。

23,000行にも及ぶ長大な詩を、簡略化・散文化したものが、この『カレワラ物語』である。

カレワラ物語―フィンランドの国民叙事詩カレワラ物語―フィンランドの国民叙事詩
キルスティ マキネン Kirsti M¨akinen

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元の「カレワラ」を忠実に訳した小泉保訳『フィンランド叙事詩 カレワラ』や森本覚丹訳『カレワラ フィンランド国民的叙事詩』を読むことに二の足を踏んでいた小生。しかし、丸善「松丸本舗」でたまたま手に取ったこの『カレワラ物語』は簡潔な記述で、なんとか読破できそうだったので購入した次第である。ちゃんと読了した。

あらすじはWikipediaの記事「カレワラ」を読んでいただくことにして、ここで述べようと思うのが、登場する英雄たちがわりと情けない、というか、ちゃんとしてない、ということである。

<英雄たち>

物語全体の主人公は英雄ワイナミョイネン(本書ではヴァイナモイネン)である。長らく母親(大気の乙女イルマタル)のお腹に居たため、出生時から老人だった。この辺、80歳まで母親のお腹に居たという伝説を持つ老子と似てる。

ワイナミョイネンは力強く、賢く、歌の名手で、魔術の使い手で、英雄としての条件をほぼ全て兼ね備えていた。が、一つだけ欠けていたのが、女性にモテないということ。サーミの娘、アイノに求婚したところ、アイノは老人と結婚することを拒み、海に逃げて溺死し、サケとなった。

次に、ワイナミョイネンは北極圏の国、ポホヨラの女主人、ロウヒの娘(ポホヨラの乙女)を嫁にもらおうとするのだが、ロウヒの娘の出す難題全てに応じることができず、それどころか重傷を負ってしまう。

その後もロウヒの娘を娶るべく挑戦するが、ロウヒの娘はイルマリネン(職業:鍛冶屋)を夫として選んでしまい、ワイナミョイネンは結局、生涯独身となってしまう。ただし、ワイナミョイネンはわりとさっぱりした性格らしく、イルマリネンを恨むことなく、その結婚式では上機嫌で歌い、式を盛り上げている。

イルマリネンもまた英雄の一人で、普段は煤で真っ黒けなのだが、サウナに入ってさっぱりすると、肉親(イルマリネンの妹、アンニッキ)も見間違えるほどのいい男になる。イルマリネンは何でも作る鍛冶屋で、ありとあらゆる富をもたらす「サンポ」というものも作り出したほどである。しかし、「金の乙女」という役に立たないものを作ったりする。せっかく結婚したロウヒの娘をクッレルヴォという乱暴者に殺されてしまうという悲劇に見舞われている。


<クライマックス>

物語が盛り上がるのは、「サンポ奪還の旅」という部分である。「サンポ」はイルマリネンが作ったものの、ロウヒの所有物となって、ポホヨラの経済を支えていた。しかし、そもそもはイルマリネンの所有物であるべきだと、ワイナミョイネンは考え、イルマリネンやレンミンカイネンらと奪還の旅に出た。ここで英雄や神々が勢ぞろいするわけである。

下の図はWikipediaからとってきた、アクセリ・ガッレン=カッレラ画『サンポの防衛』という絵である。

Gallenkallela_the_defence_of_the_sa

(source: ファイル:Gallen-Kallela The defence of the Sampo.png)

右上の鳥は変身したロウヒ、船の舳先にいるのはワイナミョイネン、その下はレンミンカイネン、ロウヒの真下にいるのはイルマリネンである。

ワイナミョイネンたちがサンポを得るのに成功したかというと、そうはならなかった。サンポは海に落ちてバラバラになった。残骸の多くは海底に沈んだので、それ以来、海は豊かな恵みを生み出すようになった。残りの残骸はワイナミョイネンたちの国(=カレワラ、ヴァイノラ、もしくはフィンランド)に流れ着き、その土地を豊かなものに変えた。


<ワイナミョイネンの最後>

「サンポ奪還の旅」のあとも、ポホヨラとカレワラの間でいざこざが続くのだが、やがて沈静化する。そして、あるとき、マルヤッタという娘が処女懐胎して、ある子供を生むという事件が起こる。

ワイナミョイネンは自らの地位がこの子供に脅かされるのでは、という疑念を抱き、この子供を殺そうと考える。しかし、逆にこの子供に詰られてしまう。子供はある老人から「カレワラの王」と命名される。ワイナミョイネンは自らの引き際を悟り、海のかなたに去った。


この最後の部分、もう気づいた読者もいるだろうが、マルヤッタというのは聖母マリア、子供というのはイエス・キリストのことである。マルヤッタは馬たちに守られながら出産するのだが、これは馬小屋での生誕に対応する場面である。

ワイナミョイネンを初めとする英雄たちの時代が終わり、キリスト教の時代が始まるということを、この最後の部分は語っているのである。

なんか寂しい終わり方。

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2010.07.26

プランターで育てた枝豆を収穫

育て方が良く分からないままプランターで適当に育てていた枝豆が育ってきたので、収穫することにした:

Sedamame01

Sedamame02

プランター栽培・枝豆の収穫のタイミング」とかいう記事を読むと、

種まき後80~90日したら、鞘が膨らみ中の豆が指で押して飛び出す頃収穫

とか書いてあるんだけど、蒔いてから何日たったかなんてすっかり忘れていたよ。なんつういい加減な育て方 ┐(´д`)┌ヤレヤレ。

ほっとくとカメムシの餌食になるだけなので、丸々とした実を選んで収穫した。収穫時期を過ぎたらしく黄色くなった実もあるが、気にしない:

Sedamame03

あとは


  1. 塩を振ってゴシゴシ洗い、表面の毛を落とし、

  2. 沸騰した塩湯で4分弱茹で、

  3. 氷水で冷やして水を切って

できあがり

Sedamame04

一粒食べてみたが、まあまあ。

残りは冷蔵庫で冷やして晩に。わざわざ鮮度落としてどうする、って感じだが、それも適当。

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拡張子.mdi形式をなんとかして開く 【Office 2007版】

以前、「拡張子.mdi形式をなんとかして開く」(2009年7月9日)という記事を書いたが、これはOffice 2003ユーザー向けである。

Office 2007ユーザーで、mdi形式のファイルが開けない場合には、つぎのやり方で、MDI ビューアーをインストールしなくてはならない:

  • 「スタート」->「コントロールパネル」->「プログラムの追加と削除」の順で開く
  • 「現在インストールされているプログラム」の一覧で、インストールされているMicrosoft Office 2007をクリック
  • 「変更」をクリック
  • 「機能の追加/削除」->「次へ」の順でクリック
  • 「Office ツール」を展開
  • 「Microsoft Office Document Imaging」を展開
  • 「スキャン、OCR および Indexing Service フィルター」->[マイ コンピューターから実行]->「次へ」の順でクリック
  • 「再構成」が始まるのでしばらく待つ
  • 「再構成」が終了したら、MDIビューワーのインストール完了
  • 「スタート」->「すべてのプログラム」->「Microsoft Office」->「Microsoft Office ツール」の順で開くと、新たに「Microsoft Office Document Imaging」がインストールされているはず

(参考:「マイクロソフト サポート オンライン/2007 Office プログラムに同梱されている Microsoft Office Document Imaging プログラムで .mdi ファイルが開かない」)

「Microsoft Office Document Imaging」がインストールされたら、あとはmdiファイルをダブルクリックするだけで開くことができるようになる。

Office 2010は購入していないのでわかりません。

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2010.07.25

「日立 uVALUEコンベンション2010」に行ってきた―その3 リチャード・フロリダの講演が熱い

7月22~23日、東京国際フォーラムで開催された「日立 uVALUEコンベンション2010」の話の第3弾。これでおしまい。

<その2 リチャード・フロリダの講演が熱い件>

7月23日には『クリエイティブ資本論』や『クリエイティブ・クラスの世紀』などで知られる都市経済学者、リチャード・フロリダにより講演が行われた:

リチャード・フロリダ:「クリエイティブクラスの世紀、そしてその後」(7月23日15:15-16:15@hall B7)

もともと冷房が弱いうえに、ホールの前は物凄い行列になって、熱気で汗だくになったことであるよ。

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リチャード・フロリダのファンって、こんなにたくさん、いたのか?

<講演内容>

パンフレットによれば、

With the 100th anniversary of Hitachi, Ltd., it is pleasure for me to share with you what comes next after the great shift in my recent work, The Great Reset.

日立創立100周年に際し、私の近著「The Great Reset」で展開した、経済の大変化の次にくるものは何なのかについて、皆様と考えることができることをうれしく思います。

とのメッセージがフロリダから寄せられているのだが、講演の中ではそれほど明確な予測を述べていたわけではない。本人も「水晶玉を持っているわけではない」と言って防御線を張っていた。あと、詳しくは近著「The Great Reset」を読んでくれ、ということなのかもしれない。

リチャード・フロリダが述べていたことを箇条書きにするとこんな感じである:

  • The Great Reset
    • 現在は「第3の恐慌」に見舞われている。しかし、これはまったく新しい社会、経済、生活が生まれる、"The Great Reset"のときでもある
    • 前の世界恐慌は1929年に始まったが、そこから完全に回復するのは1950~60年にかけてだった。すなわち"The Great Reset"には時間を要する
    • 世界恐慌があった一方で、1930年代には技術革新があった。危機の時代には新しいものが生まれる
    • 現在進行中のトレンドは、ドラッカーや野中郁次郎が言っているような工業社会から知識社会へのシフトである。知識社会ではクリエイティビティが重要となる
    • クリエイティビティを担うクリエイティブクラスは現在、先進国の人口の30%程であるが、2020年には40%に増加するだろう
    • クリエイティブクラスの例を挙げると、科学者、研究者、技術者、設計者、アーティスト、医者、弁護士、会計士、経営者といった人々である。これらの人々は失業率が低いことが特徴である
  • クリエイティビティの活用
    • 組織の中のクリエイティビティを活用する組織が勝者となる
    • 企業におけるクリエイティビティの活用の代表例は日本の自動車産業。米国のように、CEOだのR&D関係者だの、上層部だけが頭脳を使うのでは企業は勝利しない。工場の人々がクリエイティビティを発揮することによって生産性が向上し、日本の自動車産業が勝利した
    • クリエイティビティの活用は工場だけに留まっているのはなぜか?R&Dの現場や経営の場でもクリエイティビティを活用しなくてはならない
  • どうやってクリエイティビティを伸ばすか?
    • クリエイティビティは報酬などによって伸ばせるものではない。モチベーションは内的なもので、クリエーションの喜びが原動力
    • クリエイティブクラスには集中力を維持するための連続した時間が必要である。いわゆる「フローの中断」があってはならない
    • ということは、組織があって、そのリズムに合せて人々が仕事をするという従来のやり方ではクリエイティブな仕事はできない。これからは逆で、クリエイティブな仕事をする人々に合わせて、組織があるべき
  • 国家・企業から都市・コミュニティ・リージョンへ
    • これからは従来の組織である、国家・企業が中心にはならず、人間本位の都市・コミュニティ・リージョンが中心の時代となる。これからは、都市・コミュニティ・リージョンの中で、異なった考え方の人々が競争し合って新しいものを生み出す時代になる
    • これからは国家の時代ではない。世界は40のメガリージョンがリードする
    • メガリージョンとは例えば、ニューヨークや東京のような人口集中地帯のことである。40のメガリージョンには世界人口の18%が集中し、3分の2の富を生み出す

<小生なりのまとめ>
リチャード・フロリダはクリエイティブクラスを「科学者、研究者、技術者、設計者、アーティスト、医者、弁護士、会計士、経営者」としているが、講演全体を聞いていると、実はそういった特定の職業の人たちを指しているのではないということがわかる。

職業に関係なく、創意工夫をする人々をクリエイティブクラスと呼ぶわけである。「科学者、研究者、技術者、設計者、アーティスト、医者、弁護士、会計士、経営者」という職業にはクリエイティブクラスが多い傾向があるというだけの話である。

医者とかアーティストとか特定の職業を指標として用いないと、「クリエイティブクラスが人口の30%」とか「40%」とかいう議論ができないので、フロリダはクリエイティブクラスと特定の職業を結びつけて話したのだろうと思う。


知識社会へのシフト、クリエイティビティの重視、ということが本当であれば、現在の会社の運営システムは崩壊し、クリエイティブな個人事業主(例えば、企画をする人、設計をする人、システムを組む人)の合従連衡でビジネスが行われるということになるだろう。

とすると、コミュニケーションがとりやすい都市部に個人事業主が集中するので、40のメガリージョンに人材と富とが集約されることになる。「40のメガリージョンには世界人口の18%が集中し、3分の2の富を生み出す」というリチャード・フロリダの数字をもう少し変形すると、世界人口の約2割が世界のGDPの約8割を生み出すというパレートの法則になる。

リチャード・フロリダはメガリージョンになりそこなった地域について触れなかったが、小生なりに考えてみると、世界の人口の8割が2割の富しか得られないということになる。単純労働者ばかりの地域の誕生。これって、世界規模の格差社会。国家は力を失っているだろうから、富の再配分は行われない。40のメガリージョン帝国とその周辺の植民地という世界新秩序は、なんとなく暗い未来のような気がする。

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2010.07.24

「日立 uVALUEコンベンション2010」に行ってきた―その2 日立の骨董品が熱い

7月22~23日、東京国際フォーラムで開催された「日立 uVALUEコンベンション2010」の話の第2弾。

<その2 日立の骨董品が熱い件>

こういう催しじゃないとお目にかかれないのが、日立がこれまでに開発してきた商品群。

こういう100周年記念ブースができていて、

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こういうお姉さんが中に誘導してくださる。

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小生のベストチョイスはこの3点。


<冷蔵庫>

1932年、亀戸工場(昔、亀戸に工場があったのです)で作られた日立初の電気冷蔵庫である。

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読者諸氏は知るまいが、小生は冷蔵庫については多少知識がある。

この電気冷蔵庫の上に付いているのは、ラジェーターもしくはコンデンサーといわれる放熱用の熱交換器である。冷蔵庫の中の熱を捨てるための装置。

ちなみに今の冷蔵庫では、側面や天井面にコンデンサーが収納されている。だから、今の冷蔵庫の側面には放熱のための隙間が必要。


<昔のハードディスク>
1985年12月に出荷された、H-6585磁気ディスクである。情報処理学会からは「情報処理技術遺産」として認定されている。

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円盤サイズ14インチ、最大容量5GB。今だと、切手1枚ぐらいの大きさのSDメモリーの方がもっと容量が大きい。やはり、時代を感じる。


<メインフレーム>

「プロジェクトX」でも取り上げられた、旧国鉄マルス(座席指定券類の予約・発券システム)の頭脳、HITAC8700である。1970年に開発された。

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ほかにもいろいろあったが、日立は、100年間、日本(の一部分)を支えてきたのだなぁという感想を持った。ちなみにライバル東芝は創業135年。

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「日立 uVALUEコンベンション2010」に行ってきた―その1 社会インフラビジネスが熱い

7月22日、23日と、東京国際フォーラムで開催された「日立 uVALUEコンベンション2010」に行ってきた。元社員なのに「創業100年」とは知らなかった。だからダメなんですね。

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東京は猛暑に見舞われていたが、「uVALUEコンベンション」も熱かった。人、大杉:

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以下、三つの記事に分けてレポート、というか感想文。

  ◆   ◆   ◆

<その1 社会インフラビジネスが熱い件>

7月22日(木)15:30~17:10、hall B7で「社会インフラの高度化とグローバル展開」というパネルディスカッションがあった。社会インフラの輸出が、これからの日本最大のビジネスになるという話。

モデレータは三菱総研の平石和昭氏。
パネリストは、

  • 元三菱商事副社長で現帝京大学教授の髙島正之氏
  • 経済産業省経済産業政策局長の松永和夫氏
  • 元はJBICで、現住友商事理事の山崎亜也氏
  • 日立の執行役常務の齊藤裕氏

の4人。

<発言の概要>

モデレータの平石氏によると、社会インフラビジネスの規模は、世界では1兆6千億ドル/年、アジアでは7500億ドル/年である。そしてこれに対し、日本としては2020年には19.7兆円/年のインフラ輸出を目指すという話。

経済産業省の松永氏は、社会インフラ輸出のためには政府首脳が相手国に売込みを図るという「トップセールス」、また、取引材料としてはインフラ分野以外での協力(○○支援とか)も欠かせないと述べていた。詳しくは「産業構造ビジョン2010」を見ろ、という話。

元三菱商事の髙島氏は、インフラ輸出というよりも「都市開発+都市経営パッケージ」という枠組みで売り込むことを強調。また、都市開発によって相手国の民生向上を図ることは日本の外交戦略として有効であるとともに、相手国に日本の新市場を形成することにもなると述べていた。

髙島氏は、インフラ輸出のためには、プロデューサーディレクターが必要だと言うことを述べていた。簡単に述べると、プロデューサーは相手国との交渉や日本の政官学銀行との連携を行う役割、ディレクターは商事会社、ゼネコン、サブコン、プラントメーカー、重電、システムインテグレーターなど実施企業を取り纏める役割、ということらしい。下の図のようになる:

Photo

元JBIC、現住友商事の山崎氏はインフラの輸出に留まらず、投資ということもあわせて行うことが必要である、つまり日本は「輸出立国から輸出+投資立国」を目指すべきと発言。従って、GDPからGNIで国富を計るように考え方を切り替える必要性があると。

日立の齊藤氏は日立のPRとして、天津エコシティやデリー―ムンバイ間産業大動脈構想への参画、日立のコア技術としてのエネルギー・マネジメント技術などを紹介。あと、一社では弱いので企業連合「オールジャパン」でインフラ輸出に取り組まないといけないと述べていた。


<小生なりのまとめ>
インフラ輸出は1メーカーの手に負えるような仕事ではない。トップセールスは政治家の仕事だとして、あとの相手国との調整や企業連合の調整などの仕事は、政商たる三菱商事や住友商事の仕事ということになるだろう。「ディレクター」は商事会社の仕事、「プロデューサー」は商事会社OBで、政官金融に強い人の仕事、ということだろう。日立は「オールジャパン」のチームメンバーに常にエントリーしてもらえるよう社会インフラの技術を磨き続けなくてはならない。

日立のお祭りなんだけど、商事会社の強みを見せ付けられたような感じ。

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2010.07.21

金賢姫ってヅラ(ウィッグ)でしょ

夕食にすしを食ったとか、どうでもいい情報ばかりの「金賢姫元工作員の来日」報道であるが、うちのツマが映像を見て、「金賢姫ってヅラ(ウィッグ)でしょ」とのたもうた。以前の記者会見時の髪型の不自然さにピンときたらしい。

なるほど、韓国国内では逃亡に近い生活を余儀なくされているという話だから、普段は別の髪型で姿をくらましているのだろう。

小生の下世話な疑問: 今回の来日の総費用は? あとどっから捻出されてるの? 過去、マスコミが金賢姫にインタビューしたときはいくら払ったの?

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2010.07.20

【NHK BShi】 May the force be with you 【スター・ウォーズ祭り】

土曜日から月曜日まで、ここ3日間、「スター・ウォーズ」漬けである。

NHK BShiでは世界初の試みとして公開順ではなくエピソード順に毎日午後8時から「スター・ウォーズ」を上映しているのだが、まんまとこの罠に嵌って、夫婦そろって毎夜見ているのである。

「スター・ウォーズ」本編だけなら被害は少ないが、本編におまけが付いているのが曲者である。こんな感じである。

2010年7月17日(土)

時間映画
20:00-22:20スター・ウォーズ エピソード1 ファントム・メナス
22:20-23:10スター・ウォーズ 世界の兵士たち大行進!

2010年7月18日(日)

時間映画
20:00-22:25スター・ウォーズ エピソード2 クローンの攻撃
22:30-24:10劇場版 スター・ウォーズ/クローンウォーズ


2010年7月19日(月)

時間映画
20:00-22:25スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐
22:30-24:00ファンボーイズ

7月17日(土)の「エピソード1」のあとに流れた「世界の兵士たち大行進」というのは、帝国軍兵士のコスプレをする国際的ファン団体「501軍団」のメンバーたち300人(?)が、ロサンゼルスのローズ・パレードで行進するまでの模様を追ったドキュメンタリー。メンバーたちの結束の高さ、スター・ウォーズに寄せる思いの熱さにまいってしまう。

7月19日(月)の「ファンボーイズ」というのは余命6ヶ月と言われ、「エピソード1」の上映まで命が持たないというスター・ウォーズファンの若者が、仲間とともにルーカス・フィルムに忍び込み、「エピソード1」を盗み見ようとたくらむ話。途中で、スタートレックのファン(トレッキー)とけんかになったりするのが面白い。なぜか、スタートレックのカーク船長を演じたウィリアム・シャトナーが、スター・ウォーズファンたちの手助けをする。

ちなみに「ファンボーイズ」にゾーイという女の子が登場するのだが、演じているのはAXNドラマ「ヴェロニカ・マーズ」でおなじみのクリスティン・ベル。奥目の女優で、松金よね子、ロッキーのエイドリアンに似ていると思っていたら、「ちょっと可愛い松金よね子」という発言がどこかの掲示板にあったので、みな考えることは同じだと思った。

本編のエピソード1~3が面白いのはもちろんだが、おまけのドキュメンタリーや映画の方ではスター・ウォーズを通じた人々の固い絆が見られて、さらに面白い。これもフォースのなせる業か?

今日からはエピソード4~6が上映される。
連日見ている読者諸氏も多いことと思われる。
May the force be with you!

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2010.07.13

中国格付け機関による初の国家信用格付けの一覧表

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報道でご存知の人もおられると思うが、2010年7月11日、中国の格付け会社、大公国際資信評価有限公司が世界50カ国を対象に国際信用格付、つまり、自国通貨建てまたは外貨建ての債務履行能力の格付けを発表した。

欧米外の格付け機関がこのような格付けを発表するのは初めてだという。

欧米の格付け会社の信頼性が揺らいでいる中、新たな指標として登場したわけである。

1位から50位までの国際信用格付けは次の通りである:

順位国名自国通貨建て・等級自国通貨建て・展望外貨建て・等級外貨建て・展望
1ノルウェーAAA安定AAA安定
2デンマークAAA安定AAA安定
3ルクセンブルクAAA安定AAA安定
4スイスAAA安定AAA安定
5シンガポールAAA安定AAA安定
6オーストラリアAAA安定AA+安定
7ニュージーランドAAA安定AA+安定
8カナダAA+安定AA+安定
9オランダAA+安定AA+安定
10中国AA+安定AAA安定
11ドイツAA+安定AA+安定
12サウジアラビアAA安定AA安定
13アメリカAAネガティブAAネガティブ
14韓国AA-安定AA-安定
15日本AA-ネガティブAA安定
16イギリスAA-ネガティブAA-ネガティブ
17フランスAA-ネガティブAA-ネガティブ
18ベルギーA+安定A+安定
19チリA+安定A+安定
20南アフリカA安定A安定
21マレーシアA安定A安定
22エストニアA安定A安定
23ロシアA安定A安定
24ポーランドA安定A-安定
25スペインAネガティブAネガティブ
26イスラエルA-安定A-安定
27ブラジルA-安定A-安定
28イタリアA-ネガティブA-ネガティブ
29ポルトガルA-ネガティブA-ネガティブ
30インドBBB安定BBB安定
31タイBBB安定BBB安定
32メキシコBBB安定BBB安定
33カザフスタンBBB安定BBB-安定
34ハンガリーBBBネガティブBBB-ネガティブ
35アラブ首長国連邦BBBネガティブBBBネガティブ
36インドネシアBBB-安定BBB-安定
37エジプトBB+安定BBB-安定
38ベネズエラBB+安定BB+安定
39ナイジェリアBB+安定BB+安定
40ルーマニアBB+ネガティブBBネガティブ
41ギリシャBB安定BB安定
42トルコBB安定BB-安定
43アイスランドBBネガティブBB-ネガティブ
44ベトナムBB-安定BB-安定
45モンゴルB+安定B+安定
46フィリピンB+安定B+安定
47アルゼンチンB安定B安定
48ウクライナB安定B-安定
49パキスタンB-ネガティブB-ネガティブ
50エクアドルCCC安定CCC安定

日本は15位。アメリカ・韓国より下とはね。

もとの情報は大公国際資信評価有限公司のページ(中国語)で公表されているのでご参照ありたし。

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折口信夫(おりくち・しのぶ)の『口ぶえ』を読んだ

折口信夫(おりくち・しのぶ)の代表作『死者の書』に続いて、今度は『口ぶえ』を読んだ。これは過去1回、旧版・折口信夫全集(中公文庫)で読んだので、今回は2回目である。

やはり、現代仮名遣いになっていると読みやすい。

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<『口ぶえ』のあらすじ>
漆間安良(うるま・やすら)は大阪の百済中学校の3年生である(15歳(数え年?))。汗っかきのアンニュイな少年。いつもここに心あらず、といった様子で、勉強には身が入らない。上級生からは同性愛の対象として狙われているらしく、とくに岡沢という5年生(18~9歳)からは強く迫られている。安良自身は同級生の渥美泰造(あつみ・たいぞう)に思いを寄せている。

8月の下旬、安良は岡沢と渥美の両方から手紙を受け取る。岡沢は富士登山の途上、渥美は京都の山寺から手紙を送ってきたのであった。安良は渥美を清らかな存在、岡沢や自分を醜い存在とみなし、自らには岡沢の方が似つかわしいのではないかと煩悶する。その煩悶の揚句、安良は渥美が滞在している京都の山寺に向かうことにする。

安良が京都・西山の山寺に到着した晩、寺の一室で安良と渥美は枕を並べて寝る。渥美は安良に突如、こんなことを言う:

「みんな大人の人が死なれん死なれんいいますけれど、わては死ぬくらいなことはなんでもないこっちゃ思います。死ぬことはどうもないけど、一人でええ、だれぞ知っててくれて、いつまでも可愛相やおもててくれとる人が一人でもあったら、今でもその人の前で死ぬ思いますがな、そやないとなんぼなんでも淋しいてな」

安良は即答しなかったが、渥美との心中について考える。

翌日午後、川遊びを終えた安良と渥美は急に思い立ち、「釈迦ヶ嶽(しゃかがたけ)」を目指していちずに歩き始める。黄昏時、釈迦ヶ嶽の頂に到着した二人は心中を心に決め、崖から身を乗り出す。


  ◆   ◆   ◆


折口信夫は15歳のときと16歳のときの2回、自殺を試みて失敗している。『口ぶえ』はその年頃の折口信夫自身の心境を克明に再現しようとした作品なのだろうと思う。だからであろう、安良の心理の描写は生々しく痛々しい。

上述のあらすじに書いたように、この作品の中で折口信夫は渥美に「みんな大人の人が死なれん・・・そやないとなんぼなんでも淋しいてな」と語らせているが、この強烈なセリフは折口信夫自身が終生抱き続けた気持ちであろうと思う。

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2010.07.12

菅首相早期退陣、政治混迷、失われた30年の開始

予想されていたとはいえ、民主党負けすぎ。

小生は塩野七生の唱える如く、政治の安定を望んでいるので、衆参ねじれ現象の再発はやばいと思う。

安倍->福田->麻生の3年間は野党民主党が強すぎて、自由民主党はまともな政策運営ができなかった。今度はその逆で、野党自由民主党が強くなりすぎて、民主党はまともに機能しなくなるだろう。

かつて安倍ちゃんは参院選敗北直後に続投を宣言したものの、結局すぐにお腹を壊して政権を放棄することになった。菅首相はお腹こそ壊さないかもしれないが、かつて年金問題で責任を追及されたとき、代表を辞めてお遍路さんになったぐらい、勢いのいい人なので、あと数日で政権を放棄するかもしれん。

かつて小泉政権のもとでは、1990年のバブル崩壊から2000年ごろまでの景気低迷期を「失われた10年」と呼び、新自由主義の導入によってそこから回復しようとした。

しかし、その後も十分な景気回復には至らず、格差は拡大するわ、リーマンショックに始まる世界同時不況に巻き込まれるわ、結局は「失われた20年」になってしまった。

これから先、2大政党が足を引っ張り合ってまともな経済政策が打ち出せなくなる状況が長期間続くとすると(その可能性は大きいと思う)、これから「失われた30年」が始まる、ということになるのではなかろうか?

それにしても菅首相就任時のV字回復はどこに消えたんだ?

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2010.07.07

折口信夫(おりくち・しのぶ)『死者の書』を読む

今年の5月に岩波文庫に入った折口信夫(おりくち・しのぶ)の代表作『死者の書』を読んだ。過去2回ほど旧版・折口信夫全集(中公文庫)で読んだので、今回は3回目。

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カバー絵が『死者の書』初版のカバー絵「オシリスの霊魂」からとられていて、非常に良い。

現代語訳になったので、非常に読みやすいけど、内容は複雑。過去2回読んだときよりはわかるようになったかどうか不明。

物語は2重構造で、次の2つの話が折り重なっている:


  • 持統女帝に処刑されて二上山に葬られた大津皇子(滋賀津彦)が雫の滴る石棺の中で目覚め、自らの状況を嘆き、藤原氏の娘、耳面刀自(みみものとじ)に呼び寄せようとする

  • 藤原南家の郎女(中将姫)が二上山の峰の間に現れた阿弥陀仏に導かれ、二上山麓の当麻寺に身を寄せ、蓮糸で曼荼羅を作成する


このほか、途中に大伴家持が登場して、当時の世情を明らかにする役割をしている。

大津皇子と藤原南家郎女が何で関係するのか、ということであるが、作品中の登場人物、当麻語部媼(たぎまのかたりべのおみな)の話からすると、大津皇子の亡霊が郎女を耳面刀自と見なして二上山に呼び寄せ、郎女は大津皇子を山越しの阿弥陀と見なして引き寄せられた、ということになる。

「した した した。」(墓の中の水の滴る音)、「ほほき ほほきい ほほほきい―。」(鶯の鳴き声)、「つた つた つた。」(闇の中の足音)。これらのオノマトペは折口独特のものであり、強烈に記憶に残る。折口信夫の言語感覚は尋常なものではない。


  ◆   ◆   ◆


今回紹介した『死者の書』は青空文庫で読むことができる:
死者の書 (新字新仮名、作品ID:4398)
死者の書 (旧字旧仮名、作品ID:24380)

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2010.07.06

梅棹忠夫、死んじゃった

梅棹忠夫先生、老衰のため死去:
訃報 梅棹忠夫さん90歳=文化人類学『文明の生態史観』」(毎日新聞、2010年7月6日)

世の中的には、NHKが大相撲名古屋場所の中継をしない、というニュースの方が大きいんだろうけど、小生としては、こっちの方が大きい。

「文明の生態史観序説」は有名な論文で、「西洋と東洋」という枠組みを崩し、「第一地域と第二地域」という新たな枠組みを提示した。当時は大きな論争を巻き起こしたようである。

東南アジアとかアフリカとか米大陸とかの文明の多様性がわかってきた現在から見ると、足りないところの多い説(「第一地域・第二地域」だけじゃ説明不可能)だと思うので、小生としてはあまり評価していない。

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梅棹先生の有名な著書としては、『知的生産の技術』(岩波新書、1969年)があるけど、あのカード式の知識整理術は、本当に実行するとえらいことになる。

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『行為と妄想-私の履歴書』は、生い立ちに始まって、世界各地における探検調査、民博の設立、失明後の日々まで、梅棹先生のほぼ全生涯がカバーされていて面白い本である。

とくに面白いのは、探検の世界やジャーナリズムの世界では脚光を浴びていたものの、1949年から1965年まで勤めた大阪市立大学では、一介の助教授として退屈な日々を送っていたという話。本当に授業が嫌いだったようである。市大では一般教養の生物学を担当していて、黒板に古生物の絵とラテン語の学名を書いていたところ、学生たちからは「漫画と語学の授業」と嘲られていたとか。

ちなみに梅棹先生はイラストが上手。『行為と妄想-私の履歴書』の表紙の絵はこの人の描いたもの。

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梅棹先生は世界各地を回ったが、フィールドワークで必要に迫られて、数多くの言葉を学んだという。その体験が綴られているのが、『実戦・世界言語紀行』(岩波新書)。

数週間から数ヶ月でだいたい言語をマスターしたものの、用が済んだらすぐ頭から消えていったと言う話。言語学を趣味としていたのではなく、言語を単なる道具として使っていたという姿勢がよくわかる。

実戦・世界言語紀行 (岩波新書)実戦・世界言語紀行 (岩波新書)
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小生がこの人の著書で一番面白いと思ったのは、一番最初の著書であろう、『モゴール族探検記』(岩波新書、1956年)である。

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現在でも秘境みたいなもんだが、当時はもっと凄い秘境だったアフガニスタンに入って、モンゴル系民族である「モゴール族」を探したときの記録である。当時は京都大学学術探検隊の黄金時代。一緒に探検した山崎忠氏は本を書き上げる前に亡くなってしまったという悲しいエピソードも記されている。

今日はまた何冊か読み返してみようかと。

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2010.07.05

JavascriptでPMVの計算:久々にプログラミング

仕事で使うプログラムを関係者にいちいちコピーして配るのが面倒なので、Javascriptに書き直して、誰でも利用できるようにした。

何のプログラムかというと、快適性評価指標のPMV(Predicted mean vote)の計算プログラム。

PMVの計算式はISO-7730で決まっているのだが、実際に計算しようとすると、収束計算があるので、Fortranなり、VBAなり、プログラムを組んで計算しなくてはならない。

プログラムが完成しても、今度は、「プログラム頂戴」という人たちに配るとき、それぞれのパソコン上で稼働するように微調整をせにゃならん。

そこで、今回、ブラウザさえあればだれでも使えるように、入門書を見ながらJavascriptで記述し、勤め先のウェブページ上で動くようにした次第。

エラー処理などを組み込んでいないのだが、一応、動くことを確認したので、必要な人は使ってくだされ:
PMV and PPD Calculation

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2010.07.02

人生の長さについて:人生はわりと長い

セネカの『人生の短さについて』という本がある:

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一般に人生は短いという印象がある: 「短い一生に生まれついているうえ、われわれに与えられたこの短い期間でさえも速やかに急いで走り去ってしまう」(9ページ)

セネカはこれに反論して:

われわれは短い時間をもっているのではなく、実はその多くを消費しているのである。人生は十分に長く、その全体が有効に費やされるならば、最も偉大なことをも完成できるほど豊富に与えられている」(9~10ページ)

と述べる。

セネカが非難するのは時間の浪費のことである。一般の人は「財産を守ることはケチであっても、時間を投げ捨てる段になると、貪欲であることが唯一の美徳である場合なのに、たちまちにして最大の浪費家と変わる」(13~14ページ)。

じゃあ、どうすればよいのかというと、煩わしい他人の頼みごとや自分の欲望や金儲けのためではなく、真善美の追求のような崇高なことに人生を使えとセネカは言うのである。そうすれば、人生は十分に長いと。ストア派らしい意見である。

もっとも、セネカは政治という泥臭い世界に身をおいており、後に教え子の「暴君」ネロに反逆の疑いで死を命ぜられ、人生を全うできないのであるが。


  ◆   ◆   ◆


 さて、本題。セネカもまた客観的には「人生は短い」という前提に立って、それを主観的に長くする方法について述べたのであるが、ロジャー・ペンローズの『心は量子で語れるか』を読むと、その前提が崩れる。

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第1章の初め、「人間スケールの不思議」という節で出てくる話だが、人間というのは意外に寿命が長いということが記されている。

人間の大きさ(1.8mとしよう)は、プランク長(1.62×10の-35乗m)と宇宙の半径(1.30×10の25乗m)の中間点より、やや宇宙の半径寄りに位置する。

人間の寿命(80年=2.52×10の9乗秒としよう)は、プランク時間(5.39×10の-44乗秒)と宇宙の年齢(4.32×10の17乗)の中間点より、かなり宇宙の年齢寄りに位置する。

これらを図にするとこうなる(クリックして拡大):

Comparingscales

横軸が時間スケール、縦軸が空間スケールである。

なお、参考までに


  • 素粒子: 時間スケール=不安定な素粒子の寿命、空間スケール=電子の古典半径

  • 細胞: 時間スケール=味蕾細胞の寿命(10日)、空間スケール=大き目の人体細胞(25ミクロン)

  • 地球: 時間スケール=地球の年齢、空間スケール=地球の直径


とした。

ペンローズはこのように言っている:

私たち人間は、存在のはかなさをしばしば口にする。しかし図1-4(上図と同じ趣旨の図が本文中にある)に示された人間の寿命を見ればわかるように、決して私たちがはないということはないのである。そう、私たちはおおよそ宇宙自身と同じくらいに長生きなのだ! <中略> 私たち人間は、宇宙においては非常に安定した構造体なのである(34ページ)


セネカとペンローズから示唆された結論:
 人生はわりと長い。短いような気がするのは浪費しているから。

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