【映画観てきた】I VICERE: 副王家の一族【西京シネクラブ】
土曜日にツマと西京シネクラブ6月例会の映画を観てきた:
『副王家の一族』(2007年、イタリア・スペイン合作、監督:ロベルト・ファエンツァ、キャスト:アレッサンドロ・プレツィオージ、ランド・ブッツァンカ)
シチリアの名門貴族ウゼタ公爵家がイタリア統一直前、19世紀後半の激動の世の中をしたたかに生き抜く姿を描いた映画である。
ウゼタ家はかつてシチリアを支配していた「副王」の末裔である。副王というのは植民地などに置かれた国王代理の行政官で、総督と同じ役割。
ウゼタ家の当主、ジャコモ公爵は絵に書いたような貴族である。家族に君臨して彼らを道具のように扱う、強欲で母からの遺産の独占を狙う、狡猾でブルボン家への忠誠を捨ててガリバルディ派に乗り換える、貞操観念が薄く、妻が死ぬや否や従妹を新しい妻に迎える、迷信深く、頭に癌らしいものができても医者に見せず、尼僧にお祓いを頼む、というような有様。
このジャコモに反発するのが息子で主人公のコンサルヴォ。強欲・不誠実・退廃したウゼタ家など滅びてしまえばよいと思っている。
このジャコモ・コンサルヴォ親子の骨肉の対立を軸に華麗な貴族社会とイタリア国民国家設立の激動を描いているのが本作であるが、面白いのは、ジャコモの死後、ウゼタ家の当主となったコンサルヴォは、結局父親と同じような考え方、すなわち名門ウゼタ家の生き残りのためには何でもやる、という人物になってしまうことである。貴族の遺伝子は強い。貴族は滅びない。
ストーリー展開が早く、飽きが来ない。また、パーティーや結婚式など豪華絢爛な場面はまるで絵画のようである。
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