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2010.03.31

【科学史研究】アポロ計画の組織運営に関するメモ

「科学史研究」第49巻(2010年春号、日本科学史学会)が届いたので、ぱらぱらと読んでいるところ。

佐藤靖(政策研究大学院大学)「科学史入門:NASAとアポロ計画」(科学史研究、49巻(2010)、pp.22-25)がよくまとまっていて面白かった。以下は自分用メモ:

NASAの歴史

  • 1958年10月1日 設立
  • (1961年4月12日 ガガーリンによる世界初の有人宇宙飛行)
  • 1961年5月25日 ケネディ大統領、アポロ計画を発表
  • 1962年7月11日 「月軌道ランデヴー方式」を採用
  • (1963年11月22日 ケネディ大統領暗殺)
  • (1966年2月3日 ソ連の無人探査機、月面に軟着陸)
  • 1967年 アポロ宇宙船の火災事故により宇宙飛行士3名が死亡
  • 1968年12月24日 アポロ8号による世界初の有人月周回飛行
  • 1969年7月20日 アポロ11号、世界初の有人月面着陸
  • 1979年~1989年 ヴォイジャー計画
  • 1981年 スペースシャトル初飛行
  • 1990年 ハッブル宇宙望遠鏡
  • 1998年 国際宇宙ステーション建設開始

アポロ宇宙船とサターンV型ロケット

  • アポロ宇宙船
    • 重量50トン(燃料満載時)
    • 部品点数400万点
    • 電線総延長40マイル
    • 設計図面10万枚
  • サターンV型ロケット
    • 全長110メートル
    • 重量2700トン

アポロ計画を担った3大研究開発センター

  • テキサス州 有人宇宙船センター(後のジョンソン宇宙センター): アポロ宇宙船の開発
  • アラバマ州 マーシャル宇宙飛行センター: サターンV型ロケットの開発
  • フロリダ州 ケネディ宇宙センター: ロケット打ち上げ作業

有人宇宙船センターの技術開発の特徴

  • 航空分野と弾道ミサイル分野という2つの技術文化の衝突
  • 航空分野の文化
    • 人間中心主義(飛行士や管制官の視点を重視)
    • ボトムアップ(民主的合意形成)
    • 「私はシステムを信じていない。私は仕事をする能力があり意欲を持つ人たちを信じている」(ジョージ・ロウ副所長)
  • 弾道ミサイル分野の文化
    • システム主義(全体のシステム分析を重視)
    • トップダウン

マーシャル宇宙飛行センターの技術開発の特徴

  • ヴェルナー・フォン・ブラウン所長
  • 数千人の所員のコアの部分は、100名のドイツ出身の技術者
  • 「チーム内の信頼感と相互理解に基づく有機的な協力関係」
    • 「言葉では表現しきれない技術判断」
    • 「ハードウェア志向の実践的判断」
    • 「明示的な技術分析だけではロケット開発はうまくいかない」
  • 有機的組織運営の維持のための努力
    • 外部組織(民間企業)への外注->外注先企業との密接な連携
    • NASA本部への説明責任->専門の対応部署に一任

アポロ計画のインパクト

  • 技術的インパクト コンピュータ、新材料の開発成果が民生分野に波及
  • 政治的インパクト アメリカの優位性誇示
  • 文化的インパクト 地球の再発見

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