次世代スパコン不用(不要)論
ちょっといい話。次世代スパコン不用(不要)論に新たな材料が・・・。
「円周率ケタ数で新記録、仏技術者が一般パソコンで」(2010年1月12日、読売新聞)
フランス人デジタルテレビ関連技術者ファブリス・ベラール(Fabrice Bellard)氏がデスクトップ型パソコン(2000ユーロ程度)で円周率を2兆6999億9999万桁まで計算し、世界記録を更新したとのこと。
同氏のホームページはここだが、2.7兆ケタ全部をダウンロードしようなどという勇気はない。
小生の言う「次世代スパコン不用(不要)論」は正確に言うと、例の事業仕分けで引っかかった次世代スーパーコンピューター開発の問題の事を指す。スパコンを作るな、というよりも金がかかりすぎというのが問題である。
次世代スパコン開発者責任者の目的はスパコンに巨額の投資を行ってもらうことによって、理研や富士通の開発者や建築設備工事関係者にオマンマを食わせるという点にあり、「世界一」というのはお題目に過ぎない。蓮舫先生は叩くところが違っていた。予算担当者や開発者責任者は雇用確保という点で堂々と論陣を張れば良かった。
次世代スパコンが高すぎるんじゃないかと言う話としてはこんなのが有名:
「長崎大学のスーパーコンピュータがIEEEの「ゴードン・ベル賞」(価格性能部門)を受賞」
3800万円で地球シミュレータを凌駕するスーパーコンピュータを作っちゃったという話。
かつて20万円でスパコンを作った事例もあり、金より知恵ということである。
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コメント
はじめまして。最近、円周率を27万円のPCで計算いう話題がありました
アイデアで解決できる部分が多いのが計算分野思います。
私はEXCEL風フロントのCAEやってまして
その内容は、ショボイいえばショボイです。
ですが、それでCAE技術者や派遣社員さん不要になったり。
そんなケースがあるのが実態です。発想は大事思います。
私はOpenFoamで挫折なのが・・。;ρ;)
投稿: 石井順造 | 2010.01.13 18:58
コメントありがとうございます。
次世代スパコンの最大の問題点は用途が良く分からないということだと思います。スパコンでないとできないことがある、という話をしないと、年度末の道路工事と同じ扱いになってしまいます。
単に技術開発のための技術開発だとすると、納税者に対する説明ができないと思います。
石井様はExcel風CAEフロントプロセッサを作っているそうですが、多くの設計者・開発担当者からすればわけのわからないツリー状のメニューを操作するより、はるかにわかりやすく使いやすいものであろうと思います。
技術志向->重厚長大->投資金額で勝負、ニーズ志向->必要最低限->アイディア勝負というような構図では?
投稿: fukunan | 2010.01.20 23:56