Zhejiang大学から切手シートをもらった件
先日、中国のZhejiang(せっ江大学<「せつ」の字が出ん>)大学の論文誌"Journal of Zhejiang University SCIENCE A"(大手学術出版社のSpringerと共同発行)の査読をやったら、お礼に切手シートが届いた。中国らしく「筆墨紙硯」をテーマとした切手4枚が張ってある:
中国からの贈り物というと、でかい箱でもらって困るようなものが多いのだが、こういう切手シートだと保存も楽で良い。それにしても中国の切手は昔に比べて綺麗になったものだ。
Zhejiang大学は中国最古の大学のひとつで杭州市にある。清華大学、北京大学についで、第3位の大学とされている。
日本の場合、大学の論文集というと「紀要」という価値が微妙なものが多いが、中国の場合、トップ校は"Journal"という体裁をとる。アカデミックの世界で言うJournalとは、学者相互の査読(peer review)を通過した論文のみを掲載する論文集のことであり、ニュースが載っている一般の雑誌や随筆みたいなのが載ってしまう「紀要」や誰でも登録料を払えば発表できる「講演論文集」とは格の違うものである。
まあ、中国の大学のJournalのpeer reviewはいまのところ、形式的な意味合いが強く、伝統あるJournalとはレベルが違う。掲載されている論文は一流誌に掲載されている研究の二番煎じ的なものが散見される。
しかしながら、Elsevier(エルゼビア)やSpringer(シュプリンガー)といった学術出版社と組むあたり、長期的な戦略に基づいていることが伺える。
つまりこういうことである: 中国の国力が伸張するに従って、学術的にも中国は米国と並ぶ地位に達する(G2時代の到来)。そのとき、中国トップ校のJournal群は権威ある学術交流の場として機能するわけである。
日本の学者が欧米諸国の動向だけ見ていれば良いと言う時代は既に終わっている。学術レベルでも中国との付き合い方(例えば、中国トップ校の雑誌にも論文を投稿していくべきかどうか)を真面目に考えるべき段階なのだなあと思った。
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コメント
以下に、興味深い記事を見つけました。
ご参考に。
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ttp://release.center.jp/2009/11/2401.html
投稿: きこねこ | 2009.11.25 20:28