『海の帝国』第6章「新しい帝国秩序」
日本による東南アジア侵攻によって、植民地支配体制は崩壊した。イギリスによる非公式帝国の後に築かれたものは・・・。
アメリカによる非公式帝国だった。第2次世界大戦前後の東南アジア秩序は次の図のように変わった:
アメリカによる非公式帝国は、旧帝国とは異なり、植民地を支配して収益を上げることを目的とはしていない。共産主義の脅威に対して、東南アジア諸国をアメリカの藩屏とすることが目的である。
旧帝国は植民地において「文明化」を進めたが、新帝国は新独立国において「アメリカ化(小生の用語だとアメリ化)」を推進した。東南アジア諸国においてアメリカのライフスタイル「豊かな社会」をモデルとした経済開発を行うことによって、共産主義化を防ごうとしたのである。そしてこの一大事業のためのアジアのハブ、アジアにおけるアメリカの代理(No.2)として日本が東南アジア諸国のちのASEANに対する支援を行うことになった。
この本が書かれたのは2000年で、1997年のアジア通貨危機の後である。東南アジア各国の経済が危機に瀕し、「豊かな社会」のモデルが崩れ始めた。さて、新しい社会モデルの提示、国際秩序の構築ができるだろうか?という課題を著者は示して本章を閉じている。
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