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2009.04.02

『マンキュー経済学』を読む

小生は経済学に関する本を必要に応じて読むのだが、ちゃんとした経済学の教科書を読んだことがなかった。

知識を整理する必要があると考え、図書館で借りたのがN・グレゴリー・マンキューの『マンキュー経済学』(東洋経済新報社、2005年)である。「ミクロ編」と「マクロ編」の二分冊からなり、どちらも700ページを超える大部。マンキューは理論やキーワードを豊富な例と図表を用いて丁寧に説明している(だから分厚くなるのである)。

マンキューは1958年生まれ。1987年に29歳でハーバード大学教授に就任したという天才。2003~2005年まで大統領経済諮問委員会委員長(CEA)を務めた。頭のいい人とは、判りやすく説明できる人だという話をどこかで聞いたことがあるが、この教科書はまさにそれをあらわしているのだと思った。

本書の特徴としては、最初にマスターすべき「経済学の10大原理」が掲げてあることが挙げられる。この10大原理さえ理解できれば経済学の基礎を学んだといえるというわけである。最初にゴールを示しておいてくれることはありがたい。その10大原理とは:

<人々はどのように意思決定するか>


  • 1. 人々はトレードオフに直面している (トレードオフの原理)
  • 2. あるものの費用は、それを得るために放棄したものの価値である (機会費用の原理)
  • 3. 合理的な人々は限界的(marginal)な部分で考える (微調整の原理)
  • 4. 人々はさまざまなインセンティブに反応する (インセンティブの原理)

<人々はどのように影響しあうのか>

  • 5. 交易(取引)はすべての人々をより豊かにする (比較優位の原理)
  • 6. 通常、市場は経済活動を組織する良策である (「市場原理」)
  • 7. 政府は市場のもたらす成果を改善できることもある (政府介入の原理)

<経済は全体としてどのように動いているか>

  • 8. 一国の生活水準は、財・サービスの生産能力に依存している (生産性の原理)
  • 9. 政府が紙幣を印刷しすぎると、物価が上昇する (インフレーションの原理)
  • 10. 社会は、インフレ率と失業率の短期的トレードオフに直面している (フィリップス曲線の原理)

括弧内は小生が記憶のために勝手に名づけたものである。ひょっとしたら経済学上の用語があるかもしれないが小生にとってはどうでも良い。

第3原理を勝手に微調整の原理と名づけたことには少し説明が必要かもしれない。「微調整」という言葉は実はマンキューが第1章で使っているのだが。

理系の人間が経済学を学ぶときに躓きやすいのが「限界」という言葉。なんとなく、limitのことだと思ってしまうのである。例えば、限界費用というと、「これ以上、費用を出せません」というときの費用のことかと思ってしまうのである。

限界費用とは経済学では生産量を1単位増加した際の総費用の増加分をあらわしているのである。総費用を生産量で微分するというイメージ。「限界」という言葉は「微分係数」を求めることを意味している。微分係数の定義でlim Δh→0とかやっていたのを思い出して、「限界」→「微分係数」と連想すればよいかもしれない。

第3原理の「限界的な部分で考える」という言葉の意味は、「ある変数を微小変化させたときに別の変数がどのように変化するのかを検討する」、という意味である。その意味で第3原理を「微調整の原理」と名づけてみた。

マンキューの教科書は、以上の10大原理を掲げた上で、あとはこれらの原理を何回も取り上げて読者の経済学に対する理解を深めていくという構成である。読み進めていくうちに「何の話だっけ」、「今どこら辺だっけ」とか困惑しないですむので非常に良い。

マンキュー経済学〈1〉ミクロ編マンキュー経済学〈1〉ミクロ編
N.グレゴリー マンキュー N.Gregory Mankiw

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