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2008.08.10

グルジア・ロシア戦争:入れ子構造の戦争

オリンピックの裏番組では大変なことが始まっている。グルジアとロシアの間の戦争である。

小生には紛争と戦争の違いがわからないのだが、グルジアの国会が「戦争状態」といっている以上、もはや戦争である。

グルジアからの分離独立を求める親ロシアの南オセチア自治州にグルジア軍が侵攻し、同州で平和維持活動を行っていたロシア軍を攻撃。これが引き金で戦争が始まった。

グルジアとロシアの戦争というと、大国ロシアが小国グルジアを倒そうとしている、というように見えてしまう(判官びいき)のだが、根本の原因は相対的な「大国」グルジアがより「小国」の南オセチアを弾圧したという事実にある。この戦争はいわば入れ子構造の戦争である。

南オセチアは人口7万人程度。住民の多くはオセット人である。

1991年1月にグルジアのガムサフルディア大統領によってオセット人に対する弾圧が行われて以来、グルジアからの独立闘争を行っていた。1992年7月14日に平和維持軍が展開してからは揉め事が一段落していたようである。1993年11月に南オセチア最高会議は憲法を採択、1996年11月に初の大統領選挙を実施するなど、事実上の独立状態にあった。そして、近年はロシアへの傾斜を強めていた。ところが、昨日(2008年8月8日)、グルジア軍が侵攻してきたわけである。

ロシアがなんでこんな「小国」の肩を持つのかというと、カスピ海産原油パイプライン(BTC(バクー・トビリシ・ジェイハン)パイプライン)を擁し、黒海にも面しているこの地域に影響力を持ちたいという地政学的な理由からである。また同時に、親米・親西欧路線を掲げ、ロシアへの対決姿勢を強めているグルジアはロシアにとって目障りな国であり、その力を削ぎたいのである。ロシアの南オセチアへの肩入れの理由は、表向きは人道主義での南オセチア支持だが、本心は黒海とカスピ海に挟まれた地域の支配にある。

ロシア対グルジアという構図では絶対にグルジアが不利である。にもかかわらず、グルジアが南オセチアに進行したのは何故だろうか?その一つとしては、南オセチアの独立はまかりならんという従来からの方針があるだろう。しかし、別の理由として小生はグルジアのサーカシビリ(サアカシュヴィリ)大統領の権力基盤強化ということがあるのではないかと思っている。

サーカシビリ大統領の独裁的傾向・強硬路線に対してはグルジア国内の野党やメディアによる批判が続いており、グルジアは一枚岩とはいえない。サーカシビリは戦争を挙国一致の道具に使おうという危険な思惑のもと南オセチアに進行したのではなかろうか?

国連安保理は今のところ、米ロの対立で話が進展しないようである。

南オセチア側の声明(英語)はここで読むことができる。一方の声だけを取り上げるのは不公平かもしれないが、より小さい声ほど取り上げるべきかと思うので少しだけ引用する。

The Georgian nation is sick, the ideas of the national oneness, justifying the territorial claims are warmed up by the Georgian mass media. The government of Georgia is financed by the USA, having it's own geopolitical interests in the region. Now the tragedy is developed, the Ossetian people are systematically shot in own houses, perish under blockages of the destroyed houses.

We ask for the help, solidarity, and if it is possible with an exit on the international sites. Let the world knows the truth, instead of presented by the Georgian masters of falsifications lie. ("Save the little nation from the annihilation!", 9.08.2008 - 19:37)

グルジアは病んでいる。グルジアのマスメディアは一民族一国家という思想を煽っている。グルジア政府はこの地域の重要性を認識する合衆国から資金を得ている。いま、悲劇が展開されている。オセット人たちは組織的にその家々の中で撃たれ、破壊された家々に囲まれて滅びつつある。

私たちは助けと連帯を求める。そしてもし可能ならば国際的な場への脱出路を。グルジアが示す歪曲情報の代わりに世界がこの真実を知るように。(「この小さな国を滅亡から救え」)

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コメント

そうなんですか。
てっきりまたロシアがウォッカ片手に、我がまま放題に親分風を吹かしてるんだとばかり思ってました。
勉強になりました。

人口7万人の国ですか。
声明を読む限りこの国の人達は、今まで色んな不安や悲しみの憤りの中を過ごされてきたんでしょうね。
原油パイプラインと言う滅多に手に入らない高価なものを持っていても、平穏な幸せが掴めない。
人間の幸福はお金では買えないようになってるんですね。

投稿: おじゃまします | 2008.08.10 15:43

ロシアが圧倒的な強さで押し切りそうな情勢です。EUやアメリカの仲介でもう少ししたら停戦するのではないかとも思います。

しかし、何重にも重なった、オセット人とグルジア人とロシア人のうらみつらみがまた爆発して惨事を引き起こすのだろうと思うと暗い気持ちになります。

投稿: fukunan | 2008.08.12 21:36

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