グルジア・ロシア戦争:ロシア側メディアの見方
西側メディアの情報(民主主義国家グルジアを覇権主義のロシアが踏みにじった、という見方)ばかり示すと不公平なので、ロシア側メディアの見方を紹介する:「バラ色の毛皮を着た臆病者」(ロシア通信社・ノーボスチ、2008年8月15日)
同記事ではまず、サーカシビリ(サアカシュヴィリ)大統領の臆病さが次のように描かれている:
ミハイル・サーカシヴィリとフランスの外相ベルナル・クシニェルそして、外国の同行ジャーナリスト達は、8月11日、ロシアの爆弾投下の野蛮さを自分の目で確認するためにゴリ市を訪れた。
<中略>
グルジアの大統領が空に飛行機を見たその時だった(その飛行機はロシアの爆撃機と思ったのかも知れない)。その戦慄に小ぎれいなサーカシヴィリの顔が歪んだ。そして、男性としての(いわんや大統領としての)尊厳を忘れて、サーカシヴィリは、北京オリンピックの競技場のトラックを疾走する選手の速度で逃げ出した。警備隊(ボディーガード)は護衛のために彼に追いつくのがやっとだった。その後、丸で犯罪の犯人達を抑えつけるように乱暴に動き出し、防弾蒲団を放り投げ、自分の「生きた盾(自分の体)」でサーカシヴィリの体を匿った。
このあと、記事ではサーカシビリの精神的偏向が解説され、最後に、サーカシビリは民主主義の装いをした扇動家に過ぎないと批判されている。「バラ色」とはサーカシビリが政権につくことになった非暴力革命「バラ革命」のことを指している。バラ革命は西側では民主革命として紹介されているが、ロシアから見ると、法秩序の枠組みを無視した危険な行為として見られている。
同記事にはヒトラーに擬せられたサーカシビリの写真が掲載されている。本文中では触れられていないものの、ロシア側から見れば、サーカシビリこそがヒトラーなのであろう。
| 固定リンク
「経済・政治・国際」カテゴリの記事
- アフガニスタンからネパール人救出中(2021.08.18)
- カブール落つ(2021.08.16)
- デモクラシーの正統性と社会経済システムの正統性(2021.02.10)
- 奴隷商人にして篤志家の銅像をブリストル港にポイ捨て(2020.06.08)
- OECDの予測値がえらいことに|Japan hardest hit!(2020.04.09)
コメント
はじめまして。BNP関係でネットサーフィンをしていてたどりつきました。
グルシア(ジョージア)問題は、日本ではあまりニュースで取り上げられませんね。CNNでは、オリンピックよりこっちが大なんですが。
ロシアが一見悪者のようにヨーロッパでは言われていますが、どうも、ルーマニアからトルコを含むややこしい国々がEUに入っているがため、旧西ドイツまでのEU国はあえてロシア対立を装っているのではないですかね。
フランスやドイツはロマーノ(ルーマニア等あそこら辺の出身者)やトルコ移民をおい出したいわけで、その方面での法律も着々と進んでいるわけで。
ロシアもチェチェンを含めた厄介な民族は適当に元の国に押し込めたいし。両方にとって緩衝地帯は必須ですから、その緩衝地帯となる国々に適当にEUと米国が安全保障(MD)をやっているとか見えないのですが。
投稿: 胡桃 | 2008.08.20 16:02
胡桃様、コメントありがとうございます。
たしかに今回のグルジア・ロシアの戦争に関して、日本での報道は欧米に比べて熱が入っていないと思います。
さて、国際政治と言うものは表裏両面があるわけで、欧米報道の「悪役ロシア」のイメージには欧米による作為があると思います。そもそもグルジア側もオセット人を弾圧しており、悲劇の主人公を気取ることはできません。
西側とロシア双方が緩衝地帯を設けたいという説には小生も同意します。しかしながら、緩衝地帯の役割を果たすべき諸国が元気が良すぎて、両陣営のコントロールが利かなくなっているように思います。ウクライナやグルジアが民主主義国家を標榜し、ロシアを刺激し、西側に助けを求める場合、西側としては救いの手を差し出さざるを得ないわけです。
今回の戦争では、ロシア政府はロシア国内のグルジア人を追放したり送金を停止するなどの措置を行っておらず、本気ではないことがわかります。しかしながら、どちらか一方が段取りを間違えた場合、複数国による大戦争に拡大したかもしれず、危険なものだったと思います。
投稿: fukunan | 2008.08.21 01:06