売った本:本宮ひろ志『夢幻の如く』
BOOK・OFFに売却した漫画の一つが本宮ひろ志『夢幻の如く』である。
夢幻の如く 1 (集英社文庫―コミック版) (集英社文庫―コミック版 (も8-69)) 本宮 ひろ志 集英社 2009-01-16 売り上げランキング : 471590 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
どんどん話のスケールが大きくなりすぎるという、
本宮ひろ志らしい作品である。
あらすじは以下の通り:
本能寺の変(1582年)で、信長が死んでいなかった、というところから話が始まる。 秀吉を裏で操り、家康と和睦させ、とりあえず天下統一。そのあと、大軍を率いて大陸遠征に出ようと九州に軍勢を集めていたところ、家康に裏切られ、秀吉や柴田勝家とともに日本を脱出。途中で嵐に遭い、朝鮮半島を経て満州にたどり着く。
満州では若き女真族の王、ヌルハチ(1559~1626年)に出会い、これを従えて、満州族を統一。ヌルハチからは「親父」と呼ばれ絶大なる信頼を得る。満州をヌルハチに任せた後、信長はモンゴルに行き、モンゴル人を味方につける。
そのころ、日本では信長と「くノ一(くのいち:女忍者)」の間にできた子供、夢暴丸が育っていた。日本を統一した家康は、夢暴丸を捕まえようとするが失敗。夢暴丸は父、信長を追って大陸に逃げる。母親は家康の下に囚われの身となった。
当時、すでに死んでいるはずのイワン雷帝(1530~1584年)が何故か蘇り、チンギス・ハーンの財宝を奪うべくモンゴルに攻め込んできた。信長はモンゴル人たちとともに戦ってこれを撃破。イワン雷帝の部下を配下に加える。ここで、信長はモンゴル人たちの信頼を得、「大ハーン」に即位する。
大ハーン信長は、今度はヌルハチとともに明を攻撃。北京を陥落させ、ヌルハチを皇帝位に就ける。中国全土を支配下に置いた後、信長は南へ西へと勢力拡大を図る。また、夢暴丸、ヌルハチの息子ホンタイジ、秀吉らに大軍を率いさせ、日本遠征を任せる。
家康はあらかじめ信長の逆襲があることを予想して、迎撃体制を整えていたものの、いきなり江戸を襲撃され、信長軍に降伏。ここで夢暴丸と囚われの身だった母の涙の対面。日本占領後、秀吉が日本を治めることになり、家康は夢暴丸のお供を命ぜられる。夢暴丸は海路でインドに向かう。
インドに着くとすでにインドは大ハーン信長の支配下にあった。ということはムガル帝国(1526~1858年)は滅ぼされたわけである。インドでは福島正則の歓迎を受ける。夢暴丸は父を追ってさらに西へ。
大ハーン信長はサファヴィー朝(1501~1736年)の領土の手前まで来て、進軍を停止。オスマン帝国やヨーロッパ各国からの使者を出迎えたりして時間をつぶしていた。イギリスのエリザベス1世(1533~1603年)やスペインのフェリペ2世(1527~1598年)は「なにをイエローモンキーが偉そうに」と対決姿勢。一方、オスマントルコ帝国は信長を懐柔しようと企む。しかし、信長は一人でらくだに乗ってウロチョロしていたところ、サファビー朝の兵士に殺されてしまった(実は殺されていなかった)。
信長の衣鉢を継いだ夢暴丸は大軍(500万人?)を率いてサファヴィー朝へ侵攻、あっという間に首都イスファハンを陥落させる。サファヴィー朝の次は、オスマントルコ帝国。
オスマントルコはヨーロッパ各国と和議を結び、イスタンブールの手前、ポスポラス海峡にイギリス・スペイン連合艦隊を送り、夢暴丸軍を倒そうと計画する。また、地中海に夢暴丸の海軍が入ってこれないように、ジブラルタル海峡を閉鎖。
しかし、ヨーロッパ各国の予想を裏切り、夢暴丸の海軍はスエズ地峡を超えて(人力で船を運んだのである)地中海に侵入、イギリス・スペイン連合艦隊は敗北し、1600年、ついに夢暴丸は世界を統一したのであった。
やがて、夢暴丸のもとに、「新大陸に信長生存」の情報が伝わる。夢暴丸は海を渡って新大陸に上陸し、インディアンの酋長になっている信長に対面。信長は夢暴丸に「新大陸に殖民してはいかん」と諭し、また自分の人生は夢か幻のようだったと感慨深げに語って物語終了。
うろ覚えなので、間違っている部分があるかもしれないが、そこはご寛恕いただきたい。
ここまでスケールのでかいほら話はあまりないと思う。面白かったけど、愛蔵するほどのことはないと思ったので、売却した次第である。
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コメント
はじめまして\(^o^)/
最近、急に本宮ひろ志に興味を持ち始めました。
ブックオフみたいな古本屋で、過去の本宮作品を全巻購入し続けています。
一週間ぐらい前に『夢幻の如く』を見つけたので、近いうちに購入しようと思ってます。
投稿: チャーシュー・リキ | 2013.01.29 02:35
「信長は本当は生きていた!」というのは,よくある歴史SFのパターンですが,本宮ひろ志にかかると,旧大陸征服完了にまで至ってしまいます。
東南アジアは?アフリカは?と,表面に出てこない地域のことが心配ですが,大ハーン信長の本隊とは別の部隊が征服していったのでしょうね。
500万人の兵士を動かすとなると,兵站はもとより,トイレをどうしたんだろうと思います。
投稿: fukunan | 2013.01.30 02:03