« 2008年5月 | トップページ | 2008年7月 »

2008.06.30

Edyが通貨危機だと!?

電子マネーエディ“通貨危機”? 月決済件数3位後退

ちょっと待て、小生もEdy使っているぞ。今まで貯めたポイント、大丈夫だろうか?

セブン・イレブンにいくと「ナナコで買お買お、セブンセブン」という歌が流れていたが、ナナコがぐんぐん伸びているらしい。

3月期決済件数は以下の通り(単位は万件):

確かに第3位ではあるが、致命的な差とは思えないのでがんばって欲しいと思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.27

山口大学名物

山口大学名物として以前、「山口大学まんじゅう」を紹介した。

大学上層部はこれに飽き足らず、次のブランド戦略として日本酒製造に取り組んでいることが明らかになった:「山口大学ブランド 日本酒製造のキセキ

結構のんびりした内容である。わりとこういうブログは好きだったりする。

6月6日の記事で紹介された「カブトエビ」が、読者の指摘で「ホウネンエビ」であることが判明し、6月20日に訂正記事がでているのはご愛嬌。

伝承によればホウネンエビが出ると豊作だそうである。

しかし、「田の草取り虫」と呼ばれるカブトエビと異なり、ホウネンエビは「田の草取りに役立つ気配もなく、害虫駆除をしてくれる様子もない。しかし、稲に害を与えたり、噛み付いたりすることもない」(Wikipediaより)、ということで人間の意志や稲の生育とは無関係に暮らす生き物だと言うことである。

赤の他人的な生態だが、それはそれで面白いとは思う。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

常温核融合の次はウォーターエネルギー

次々に新しいエネルギー源の話が報道(?)されるのは、1バレル200ドルまで行くのではないかと言われる原油高のせいだろうか?

先日取り上げた常温核融合の話の次は、ウォーターエネルギーの話である。水がエネルギー源になり、それで車を走らせることができる、という内容:「水から電流を取り出すことを可能にした新しい発電システム『ウォーターエネルギーシステム』を見に行ってきました」(Gigazine、2008年06月12日)

大阪府の議員会館で「ジェネパックス」社による「ウォーターエネルギーシステム(WES: Water Energy System)」の説明会があったのだそうだ。同記事に写真が掲載されているが、このシステムで走る自動車も展示されていたという。

発電の仕組みを見ると全体的には燃料電池とほぼ同じである。違いは次の通り:

多くの燃料電池の場合、燃料が「化石燃料または水の電気分解から得られた水素」つまりあらかじめ準備された水素である※。

(※メタノール直接燃料電池:MDFCの場合はメタノールから水素イオンを取り出す。MDFCではその際、CO2が排出される)

これに対し、WESでは、水を入れておけば、「触媒」によってそれが水素と酸素に分解され、燃料として利用可能になる。

つまり、「触媒」が勝手に水から燃料を作ってくれるということで、ここが争点になるところである。

……小生としては、そんな便利な触媒があるのだろうか、という疑問を抱かざるを得ない。

Gigazine記者もそこのところはちゃんとフォローしており、質疑応答内容を公開している:「真偽判断に役立つ「ウォーターエネルギーシステム」に対する各報道陣からの質疑応答いろいろ、そして現時点での結論」

このニュース、ロイターでも取り上げられている:"Water-fuel car unveiled in Japan"が、ある大学教授は疑問を呈している:"Professor doubts water car claims"

そりゃ当然でしょう。

で、先日から良く取り上げる、ベンジャミン・フルフォードもこのニュースに飛びついているのだが、信じきっている!!

Gigazine記者の結論は次の通りであり、小生としても同意見である:

もし本当にそのような都合のいい触媒が実在し、なおかつ安定物質である「水」をこのように分解することが真に可能であるならば、まぎれもなく「世紀の大発見」なので、すぐに学会の権威を呼び集めて検証してもらってお墨付きを得た後、第3者が検証可能な形にしてから発表すべきではないでしょうか。

現時点では内容にあまりにも疑問点が多すぎるため、残念ながら「疑似科学」扱いの領域を脱し切れていません。本当に地球の未来と環境のことを考えているのであれば、その「企業秘密」の触媒などの部分を明らかにして欲しいものです。それらが明らかになるまでは残念ですが「ウォーターエネルギーシステム」を信じることはできません。

なお、「水から電流を取り出す方法」よりも「ウォーターエネルギーシステムからお金を取り出す方法」に興味がある、というNATROM氏による面白い記事「ファインマンさんと永久機関」があるので、興味ある人はご参照いただきたい。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.25

久々に『有閑階級の理論』

4月に3章まで呼んでサボっていた、ヴェブレン『有閑階級の理論』を再び読むことにした。

有閑階級の理論―制度の進化に関する経済学的研究 (ちくま学芸文庫) ソースティン ヴェブレン Thorstein Veblen 高 哲男

これまでのあらすじは以下の記事に書いてある:

今回読んだのは第4章「顕示的消費」である。結論から言うと、「浪費するほうがもっと偉い」と言うことが書いてある。

時代が進んで都市化が進むと、知らないもの同士が接触するようになる。このときに自分の偉さを示す手段としては、「閑暇(生産的な労働に従事していないこと)」を示すよりも、「浪費」をすることの方が便利になる。これを「顕示的消費」と言う。

階層分化がいっそう進展し、より広範な人間環境にまでひろげてゆく必要が出てくると、世間体を保つ手段としては、閑暇よりも消費のほうが評価され始める。(『有閑階級の理論』101ページ)

都市住民はお互いに負けまいとする闘争のなかで、自らの通常の顕示的消費の標準をよりいっそう高いところに設定する。(『有閑階級の理論』103ページ)

顕示的消費はいわば「見栄を張る」行為のことであり、例えば酒場でおごるのもその一例である。

日常生活における冷淡な観察者たちに、自らの金銭的能力を印象づけるために利用しうる唯一の手段は、たえず支払い能力を見せつけることなのである。(『有閑階級の理論』102ページ)

こうした見栄張り競争の原因となっているものは、自分がより上流に位置していることを示したいという欲望である。そして、上流と下流を分けるものは:


  • 上流階級:贅沢品や生活の快適さを与えるものを消費する
  • 下流階級:おのれの生存に必要なものだけを消費する

という消費内容に基づく基準である。

みんな勤勉や倹約を美徳として認めていながら、実際にはセレブ生活に憧れるもんなぁ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.06.21

Office2007を昔の姿に戻せ!

Windows Vistaを導入しないでXPのままがんばっている人は多いと思う.小生もそうだ.

しかし,XPを死守しているにもかかわらず,Officeをうっかり2007にバージョンアップしてしまった人はいるのではなかろうか?

実は小生はそれ.

新しいノートパソコン(台湾製)を購入して,Vistaを拒否,XPのままで安心していたところ,インストールされていたOfficeが2007だったのである.がっかり.

2007ではそれまでのOfficeのメニュースタイルが一新(改悪とも言う)され,リボンとか言う意味不明のスタイルになってしまったのである.下載共有日報の記事の表現を引用すれば,「ファイルの保存に15分かか」るぐらい大変.

ソフトウェアというのは継承性,とくに慣れた操作が激変しないことが重要なのだが,2007はそんなこと全然無視.「形式を選択して貼り付け」を探し出すまでに小一時間かかった.あと,昔作ったExcelのファイルのマクロが動かない.なんだそりゃ.

Office2007を昔の姿に戻すことが喫緊の課題になっているのだが,それを実現するのが.下載共有日報の記事で紹介されていた次のソフト:Office 2007 オールドスタイル メニュー アドイン version 0.9

ソフトウェアの世界は助け合いで成り立っているんだねえと思った.

| | コメント (2) | トラックバック (0)

「毛沢東」度チェック

下載共有日報という冗談ばっかりのニュースサイト(日本語ニュースサイトなのに中国のアドレスとはこれいかに?)経由でたどりついたのがこれ:毛沢東ドチェック

質問に答えて、自分がどの程度毛沢東なのかを測定するのである。

毛沢東といえば10年以上前に古本屋で3冊100円で買った『実践論、矛盾論』を読んだことがある。全然内容を覚えていない。三国志だか水滸伝の話が出てきたのがかすかに記憶に残っている。あと、昔の持ち主(革命家同志?)による傍線や書き込みが多かったことも覚えている。

『実践論、矛盾論』よりも一緒に買ったシュティフター『水晶』の方が記憶に残っている。幼い兄妹がおばあさんの家からの帰り道、雪で遭難しかかる話である。ちなみに兄妹は無事だったので諸兄も安心されたい。

さて、「毛沢東ドチェック」をしたところ、小生は「プチ毛沢東」でした。
喜んでいいのかわかりません。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.16

ドキュメントスキャナが来た

ドキュメントスキャナが来た
もー、紙の書類、うざい!

ということで、ドキュメントスキャナを導入した。キヤノンのDR-2050SP。50枚まとめて、しかも両面読み込める。

これからはどんどん書類とか雑誌とかを捨てますよ!

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2008.06.12

常温核融合についてのメモ

先日、「常温核融合復活か?」という記事を書いたが、巷では徐々にその情報が広がっているようである。なんでそう思うかと言うと、弊ブログの「常温核融合」の記事へのアクセス数が増加しているからである。

常温核融合は先日の記事でも書いたようにスキャンダル扱いされている。今回の荒田吉明大阪大学名誉教授の公開実験もほとんどのマスコミからは無視されている。

マルチン・フライシュマン教授とスタン・ポンス教授による常温核融合の発見のニュース(1989年)が常温核融合騒動の発端であるが、この騒動はいわゆるミスコンダクト(不正行為)かというと微妙である。

二人はパラジウム、プラチナを電極とした重水の電気分解で核融合が起こり、多量の熱が発生したと主張した。しかし、世界中の科学者による追試では、核融合が確認されなかった。目立たない普通の実験だったら、単にフライシュマン・ポンス説の否定、というか、両教授の早とちりということになり、この件は静かに幕を閉じたであろう。しかし、よりによって夢のエネルギー源、「核融合」である。騒動にならないわけがない。

意図的な不正行為があったのかどうかによって、ミスコンダクトか否かが決まるのだが、そのあたりの絶対的な証拠はない。しかし、以下のような不審な行動をとったため、黒に近いグレーとみなされているのである:


  • フライシュマン・ポンス両教授はいったんはNatureに論文(速報)を投稿
  • 査読が行われる段階で取り下げ
  • 違う雑誌に再投稿

なんで、査読を回避するのかというわけである。その理由として「公知になると特許が取れなくなるから」という話も上がっている。しかし、結局Nature以外の雑誌で公開しているから、それもおかしい。

「常温核融合」公表後はポンスらのまわりには利権狙いの人物があつまったようである。そういう状況をみると、両教授は科学者と言うよりもビジネスマンという感じである。実験自体には意図的な操作が入っていないとしても、学会から見れば、もう信用のならない人物となるわけである。

ということで、最初の「常温核融合」は決定的なミスコンダクトの証拠はないものの、スキャンダルとみなされるようになった。

常温核融合にとって不幸だったのはこういうスキャンダルが最初にあったことである。まじめに研究したら、常温核融合現象は見つかるかもしれないが、研究すること自体がタブーになってしまった。

小生は理学ではなく、工学の人間なので、常温核融合現象の有無を判断するだけの知識はない。ただ、工学の立場から大まかに考えると、実験装置から入力エネルギー以上のエネルギーが取り出されるのならば(しかも、市販の電力計とか温度計でわかるぐらいの規模で)、信じても良いかもしれない。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.06.11

死ぬまでにしたい100のこと

『最高の人生の見つけ方』という映画があった。ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが主演の映画だ。末期ガンの二人が、金に糸目をつけず、死ぬまでにやっておきたいことを達成していくという内容。えらそうにあらすじを述べたが、実は見ていない。

同じようなテーマの映画としては『死ぬまでにしたい10のこと』という2003年の映画がある。これは余命2カ月のガンだと宣告された23歳の女性が「死ぬまでにしたい10のこと」をノートに書きだして、一つ一つ実行していく話。

いずれの話も、死を前にして、残された日々を充実させるために、最も自分がやりたいことを選び出して実行していくという内容である。

今日本屋で手にしたのはロバート・ハリス『人生の100のリスト』(講談社+α文庫)である。

人生の100のリスト
人生の100のリストロバート・ハリス

講談社 2004-02-24
売り上げランキング : 34022

おすすめ平均 star
starおもろ
starまず100のリストを作ってみましょう
star毒薬でもある

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

ロバート・ハリスはJ-WAVEのナビゲーター。1948年横浜生まれ。高校卒業後、海外を放浪。シドニーで本屋兼画廊を経営したり、香港で映画制作に携わったりしたのち、活動の中心を日本に移している。

「人生の100のリスト」とは、一生の間に達成したい100のことを挙げたリストのことである。著者は高校卒業後、シベリア鉄道経由でヨーロッパに渡り、そのあと、中東、インドを巡った。その旅の中、あるホステルでアメリカの冒険家が「一生のうちにやり遂げたい100の冒険」というリストを作り、挑戦をしているという雑誌記事を目にする。

著者はこれに影響を受け、自分の「100のリスト」をつくった。そして、それから30年以上このリストに取り組んでおり、いくつかは達成し、いくつかは現在も進行中ということである。

著者のリストの内容はこんな感じ:


  • アマゾン川をイカダで下る
  • 1000冊の本を読む
  • 武道の黒帯を取る
  • ファッション・モデルと付き合う
  • 日本を飛び出る
  • ・・・

「人生の100のリスト」づくりは人生に生きがいを見つけるための一つの手法である。死期に迫られていなくても、人間はやがて死ぬので、それまでにやるべきことをリストアップしておくのは悔いを残さないためにいいかもしれない。生きている間は張り合いがあるし、死ぬまでに全て達成していなくても、ある程度達成していれば、満足感を持って瞑目できるだろう。

目標が1つでないということも重要だと思う。人生の目標がたった一つであれば、挫折した場合、取り返しのつかないことになる。あらかじめ100も準備しておけば、おそらく大丈夫。100個の目標がそれぞれ方向性が違うことも重要だろう。同じ方向だったら全滅(全部未達)の可能性がある。

先日の秋葉原殺戮事件、犯人は非常に早い段階で挫折した「エリート」であるようだ。本人にとって人生は勝つか負けるか、でしかなかった様子。本人に100のリストさえあれば・・・と思う。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008.06.10

合衆国海軍が漫画を配っています

合衆国海軍は世界中に展開しており、各国国民の理解を得るために努力を重ねている。

で、このたび、原子力空母「ジョージ・ワシントン(CVN73)」が「キティホーク」の後継艦として横須賀配備が決まったのを機に、同空母の紹介漫画を配布することとなった:
"Navy officials pleased with Japanese response to USS George Washington comic book" (June 10, 2008, Stars and Stripes)

小生、早速ダウンロードして読んでしまったもんね。

「MANGA CVN73 USS George Washington」(作画 佐藤晴美&かづさひろし。PDFファイル、204ページ。12MBなので、回線が遅い人は注意)

初めて海外で勤務する日系のジャック・オハラ三等兵曹が主人公。空母ジョージ・ワシントン(略称GW)に乗り組み、水兵として成長していく話である。横須賀に寄航し、カマクラに住む祖父母に会うところでおわり。米海軍の日常がわかって面白い。これは昔からある「学習漫画」の一種だと思った。

発刊にあたって、在日米海軍司令官、ジェームズ・D・ケリー少将が寄せたメッセージを同書より引用:

世界が不安定で動揺している中、ジョージ・ワシントンがアメリカのもっとも偉大な同盟国であり、世界第二位の経済大国である日本に前方展開されることは、素晴らしい日米の協力関係、同盟を世界に示すものなのです。

いくつかの最新の軍事力を擁する空母ジョージ・ワシントンは、日本の防衛、極東地域の平和安定を維持する責務を担うことになるのです。

同艦の熟練した乗組員達は米国の親善大使であり、皆様の未来の隣人、そして多くの市民の皆様にとってよき友人となることでしょう。

どうぞ空母ジョージ・ワシントンが日本に到着するまでの物語をお楽しみください。


いやー改めて、日本が頼れるのはアメリカだけだなーと思ったことであるよ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.06.07

英語の冒険

久々に書評をする。今回取り上げるのは英語史を面白く描いた『英語の冒険』である。

英語の冒険 (講談社学術文庫 1869)英語の冒険 (講談社学術文庫 1869)
三川 基好

講談社 2008-04-10
売り上げランキング : 96922

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

英語は5世紀頃、ゲルマン人(ローマ帝国の傭兵部隊)によってイングランドにもたらされた。当時は15万人程度の話者しかいなかった。そんなローカルで小さな言語が今や15億もの人々が使用する言語に成長しているのである。その成長過程を描いているのが本書。

本書によれば、英語はバイキングの襲来とフランス系王朝の支配(ノルマン・コンクエスト)によって二度滅亡の危機にさらされている。

バイキング(デーン人)の襲来は、ケルト文化を駆逐し、イングランドの地に根付きつつあった英語を根こそぎ滅ぼしかねない事態だった。しかし、アルフレッド大王(英国史唯一の大王)がエサンドゥーンの会戦でデーン人に打ち勝ったおかげで、この危機を脱することができた。この後、デーン人とイングランド人の間で交易が行われることになり、その過程で英語は語尾が変化する「屈折語」であることを辞め、前置詞を利用する「孤立語」へと姿を変えた。

つぎの危機はノルマン・コンクエストである。ノルマンディー公ギョーム(ウィリアム)がイングランド(というかアングロ・サクソン)のハロルド王を戦死させたのである。これによってイングランドの支配層はノルマン人になった。ノルマン人はもともとはバイキングであるが、フランス王の支配下にあるので、広い意味でのフランス語を使っている。この結果、支配層はフランス語、非支配層は英語という二重構造が生まれる。

ノルマン・コンクエストによって約10000のフランス語彙が入ってきた。しかし、ここで、英語は持ち前の柔軟性を見せた。もともとの英語単語とフランス語単語とを置き換えるのではなく、吸収してしまったのである。

例えば果物一般を表していたappleに対し、フランス語からfruitが入ってきたとき、果物一般を表すときにはfruitを、りんごを表すときにはappleをという使い分けを行うことにした。また、もともとあったaskとフランス語から来たdesireとを併用し、微妙なニュアンスの違いを使い分けによって表すという対応もした。こうした柔軟な対応によって、英語は滅ぼされること無く、むしろ表現豊かな言語に成長した。いつの間にか、支配層も英語を用いるようになってしまった。

2つの危機を乗り越えた後、英語はチョーサーシェイクスピアの作品によってイングランド人の言語として完全に根付いた。さらにイギリスが世界帝国として成長するのに伴い、アメリカ、オーストラリア、インドへと世界中に拡大していった。アメリカではマーク・トウェインによる新しい文体が生まれた。

英語の強みの一つはその語彙吸収力である。上述したノルマン・コンクエストのときの対応もその一例である。また、植民地では地元で生まれた表現が英語に取り入れられた。たとえば、"OK"は語源不明であるが、アメリカで生まれた言葉であり、現在は英語圏以外でも使用される最も有名な言葉となった。産業革命以降の科学技術の進展に伴って生まれた新語も英語を豊かにするものとして迎え入れられた。

もう一つの強みは「屈折語」をやめたことである。これによって、文法が簡略化され、習得が簡単になった。小生はロシア語やフランス語を学んだことがあるが、人称変化、格変化には悩まされたものである。

本書にはヤーコプ・グリム(あのグリム兄弟の兄の方)による英語の強みについて述べた文章が引用されている:

現代の諸言語の中で、英語ほど大きな力を持ち生気に満ちているものはない。それは英語が古い音韻体系を捨て、ほとんどすべての語形変化を捨てたことと、教えるのも学ぶのも困難な曖昧な音を排してきたことの結果だ。英語はおそらくこれまでにどの言語も達成したことがないほどの表現力を獲得した。<中略>現存する言語のどれひとつとして、その豊かさ、合理性、精緻な構造において英語に比ぶべくもない(450ページ)

異文化、新文化に対して柔軟に対応できることが、英語を世界的な言語に成長させた理由の一つなのだろう。原著は2003年に出版されたものであるため、ネット上で生まれた"blog"という新語も取り上げられている。本書で"blog"の意味を「ネット上のメールマガジン」としているのはご愛嬌。ともかく、英語はこれからも新たな語彙を加えながら成長していくのだろう。

著者は言語学者ではなく作家である。丹念な調査をベースにしながら、英語を一個の成長する生き物として(つまり擬人化して)描き出すことによって、英語史を読みやすく楽しいものとしている。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

凄すぎる高橋メソッド

商売柄、プレゼンテーションを行うことが多い。

通常はパワーポイントを使用するわけである。大体スライド1枚1分で話せる内容にまとめる。字は可能な限り24ポイント以上、絵やグラフはスライド一枚につき1つしか使わないように心がけている。

そんな心がけを吹き飛ばすようなプレゼンテーション手法があることを知った。

高橋メソッドという手法である。

巨大な字と短い文でプレゼンを行う手法である。高橋征義氏が開発した。2001年に行われた、プログラミング言語RubyとPerlのイベントで、高橋氏はプレゼンテーション・ツールを持っていなかった。この苦境の中でHTMLのみを用いて行った講演が高橋メソッドの始まりである。

どんなプレゼンテーションなのか、というのは高橋氏自身によるメソッド紹介資料をみるとわかる。
というか、こっちを見た方がいいかも。

ほんとに字が馬鹿でかい。使ってみようかと思うぐらいである。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

2008.06.06

氷室冴子先生死去

享年51。肺がんだった。

小生は中学のときに『ざ・ちぇんじ!』とか『なんて素敵にジャパネスク』などの平安朝物をコバルト文庫で読んだものである。

ざ・ちぇんじ!〈前編〉―新釈とりかえばや物語 (1983年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)
ざ・ちぇんじ!〈前編〉―新釈とりかえばや物語 (1983年) (集英社文庫―コバルトシリーズ)氷室 冴子

集英社 1983-01
売り上げランキング : 195857


Amazonで詳しく見る
by G-Tools
なんて素敵にジャパネスク (コバルト文庫)
なんて素敵にジャパネスク (コバルト文庫)氷室 冴子

おすすめ平均
stars王朝時代を現代感覚で
stars中学生くらは読んで損なし!
stars歴史音痴も楽しめます☆
starsちょっとビックリ!
starsこんな女の子もいたのかな。

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


『ざ・ちぇんじ!』を読んだときの衝撃は凄かった。

権大納言家には、母親は違うが、顔立ちはそっくりという美しい姉弟がいた。腕白な姉は男子として、すぐ気絶してしまう弱弱しい弟は姫として育てられる。成人した後、姉は妻を娶ることになり、弟は後宮に入ることになる。さあ、どうする?と言う話である。

面白くて上下巻2日で読んでしまった。しかも何度も読み直した。そういや同級生(男ども)に貸し出したところ、誰からも絶賛されたものである。

この話、実は『とりかえばや物語』という元になった古典がある。

とりかへばや物語 1 春の巻 (1) (講談社学術文庫 293)
とりかへばや物語 1 春の巻 (1) (講談社学術文庫 293)桑原 博史

講談社 1978-10
売り上げランキング : 67478

おすすめ平均 star
star王朝文化のお笑い劇!?

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

まあ、元の作品も古典にしては面白いんだけど、やはり氷室冴子の手による『ざ・ちぇんじ!』の面白さには勝てない。

「とりかへばや」と「ざ・ちぇんじ」の比較はここに出ているので時間がある人は参照のこと。

『なんて素敵にジャパネスク』はコミック(白泉社)にもなったし、ドラマ(主演:冨田靖子、木村一八)にもなった。登場人物紹介なんかはこっち(集英社サイト)をご参照ありたし。

訃報に接して、昔読んでいたときの記憶が蘇ってきた。また読みたい。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2008.06.03

ガーデニング・ゲリラ

「大河の一滴」だか別の随筆だか忘れたが、五木寛之が「ポケットの中に花の種を入れておき、散歩のときに人の庭に投げ込んでおく。ときどき、自分のまいた種が花開くのを見て楽しむ」と、自らの花ゲリラ活動について書いていたことがある。

花ゲリラ活動・・・。「あら、素敵!」と思っていたら、海外でもっと派手にゲリラ活動を展開している集団がいた:
The Guerrilla Gardening

町のあちこちに隙間を見つけてはガーデニングを行っている。結構な数の戦闘員がいるようである。最近(2008年5月31日)には英国議会の近くで戦闘を開始し、ヒマワリとトウモロコシを植え始めたようである。

日本でも展開すると面白いと思うが、しゃれがわかるだろうか。

ちなみに宇部市は花壇コンクールなどが開かれ、ガーデニングが盛んなので、ゲリラ活動は展開しにくいかもしれない。

| | コメント (3) | トラックバック (0)

この夏、おすすめの31ヶ所(米国)

合衆国はすでに夏休み気分らしい。

ニューヨーク・タイムスがこの夏おすすめの31箇所を紹介している:
31 Places to Go This Summer (New York Times, June 1, 2008)

「ドルをユーロに換えたり、長時間飛行機に乗ったりという苦労なんていらないよ」ということで、国内(カナダも含むけど)31ヶ所への旅行を推薦している。要約して紹介する。

31ヶ所のリストは以下の通り:


  1. Texas Hill Country: ヨーロッパに行く代わりに、オースティンからサンアントニオまでを旅行するのはどうでしょうか?
  2. New Hampshire: ホワイト・マウンテンズはいい所だよ
  3. Las Vegas: 説明不要。ホテル・フラミンゴ・ラスヴェガスは昼も夜も楽しいよ
  4. Philadelphia: アメリカの歴史マニア垂涎、建国の地動物園もあるよ
  5. a Western Road Trip: あのグランドキャニオンに行こう
  6. Myrtle Beach: サウス・カロライナ州の有名なシーリゾート
  7. Montauk: ニューヨーク、ロングアイランドの最古の灯台が有名
  8. Niagara-on-the-Lake: ナイアガラの滝から20マイル離れたカナダ、オンタリオ州の町。19世紀の町並みとワインで有名
  9. Scottsdale: アリゾナ州の砂漠の中にある避暑地
  10. Chesapeake Bay: チェサピーク湾はセーリングには最適。湾に面した各都市にはヨットハーバーがある。Tides Innではセーリング教室が開かれている。
  11. Portland: 通称「バラの都市」。市内には全米最大の森林公園
  12. Monument Valley: ナバホ族の聖地。西部劇やマルボロのCMでおなじみの舞台。
  13. Oregon's Highway 101: オレゴン州の101号線は車でもバイクでも楽しめる海岸沿いの道路
  14. San Juan Islands: シアトルの北、100あまりの島々で構成されたリゾート地。オルカウォッチングなどができる
  15. the Boundary Waters: オンタリオからミネソタの間に広がる、国境地帯。カヌーやフィッシングで人気
  16. Quebec city: 誕生400年記念でイベントだらけ。
  17. Paso Robles: カリフォルニア州の町。ワインで有名
  18. Bahia Honda Key: 全米トップ10に入るぐらいの海岸。たしかにきれい
  19. San Francisco Bay Area: ゴールデンゲートブリッジのそばに、Cavallo Pointという国民休暇村のようなものがオープンしている
  20. Telluride: リトル・スイスと呼ばれるスキーリゾート地。夏はハイキングで人気
  21. Owyhee River: ベテランじゃなくてもラフティングが楽しめる川
  22. Lake Powell: ユタとアリゾナの州境にある、ボート天国
  23. Farmington: ニューメキシコ州のナバホ族の地への入り口。ネイティブ・アメリカンの文化が色濃く存在
  24. Montreal: この夏は"Osheaga Music and Arts Festival"とか"Montreal Jazz Festival"など音楽のイベント三昧
  25. Tanglewood: ボストン交響楽団による:音楽祭
  26. Beartooth road: モンタナからワイオミングに至る、アメリカでもっとも美しいハイウェイ
  27. Pacific northwest: シカゴからシアトルまたはポートランドまで、アムトラックによる鉄道の旅
  28. Sunshine Coast: バンクーバーから2時間。年間2400時間もの日照時間を誇るシーリゾート
  29. Jemez Springs: ニューメキシコ州の温泉地帯
  30. Manitoba: カナダのマニトバ州でエコツアーを楽しもう
  31. The Glaciers of Alaska: アラスカの氷河に登りませんか

リンク先で紹介されている絶景を見たりすると行きたくなるのだが、アメリカ人と違って、われわれはまず飛行機で太平洋を横断しなくてはいけない。時間と金が・・・。

ちなみに小生が米国に行ったのはたった1回。2002年にモントレーに3日間行っただけ。夏なのにカリフォルニアは寒かった。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2008年5月 | トップページ | 2008年7月 »