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2008.05.01

日本の気候区分に定説なし

仕事で必要なので日本の気候区分を調べてみた。

むかし地理で「瀬戸内気候」とか聞いたような気がするので、Wikipediaで調べてみたのだが、「気候区」では、次のように区分されていた:


  • 北海道気候区
  • 太平洋岸気候区
  • 日本海岸気候区
  • 内陸性気候区
  • 瀬戸内気候区
  • 沖縄気候区(南西諸島気候区)

で、問題なのは2点。(1)誰が何を基準に定めた気候区なのかわからないということと、(2)北海道気候区や沖縄気候区に関しては記述がないということ。世界の気候区分に関してはケッペンの気候区分というのが基本中の基本になっているのだが、日本はどうなっているのか?

「日本の気候区分」でググってみると、気候学の専門家による、こういう論文が見つかった:「生気候による日本の地域区分」(PDF、1.45MB)

この論文によると気候区分はあれこれ提案されているが、昭和以降の有力なものとしては以下のものがあるということ:


  • 福井による分類(1933):

    1. 奄美大島以南の南日本
    2. 九州・四国・本州と北海道の渡島半島までの中部日本
    3. 北海道主部の北日本

  • トレワーサによる分類(1945):

    1. 北海道
    2. 奥羽東部
    3. 日本海岸
    4. 中央山岳地帯
    5. 関東・東海地方(三重県より福島県に至る太平洋岸)
    6. 瀬戸内
    7. 北九州区(山口県より熊本県までの地域)
    8. 南海・南九州地方(南紀より鹿児島までの地域)

  • 関口の分類(1950~1959):年平均気温、気温日較差、降水量、年日照時間、日照率などによって分類。代表的なものは以下の通り

    1. (1)北海道北東部、(2)北海道西部、青森全体、東北地方西部、(3)新潟県から兵庫県北部に至る日本海岸、(4)鳥取県、島根県
    2. 九州西部
    3. 房総半島南部から伊豆半島、紀伊半島南部、四国南部、九州南東部に至る太平洋岸
    4. (1)北海道南東部、(2)東北地方太平洋岸、(3)関東地方、(4)長野県、山梨県、(5)東海地方
    5. 関西、中国、四国、九州の瀬戸内海岸
    6. 山口・北九州


関口の分類というのがいまのところ、日本の気候区分の代表になっているようだ。しかし、先ほどのwikipediaの内容とは対応していない。Wikipediaの気候区の分類はだれが決めたんだ?

インターネットに頼ってばかりだとダメなので、図書館で中村和郎、木村竜治、内嶋善兵衛『日本の気候』(岩波書店、1986年)というのを借りてきて、見てみると、これまた違うことが書いてあった。

ここではまず、鈴木秀夫による気候区分というのが紹介されていた。これは、冬季の降雪状況によって分類した結果である:


  • 裏日本気候区: 必ず雪が降る
  • 準裏日本気候区: 気圧傾度が強い時に雪が降る
  • 表日本気候区: 常に雪が降らない

「裏日本」って今言うと語弊があるのだが、そのことはこの本でも触れている。鈴木は適切な言葉が見つからず、消極的な意味で用いているのでまあ責めないでください。

『日本の気候』では独自の気候区を提案しているのだが、次の通りである:


  • スノーベルト: 多雪域(鈴木の裏日本気候区に対応)
  • サンベルト: 少雪域
  • 内陸気候区: サンベルトの中でも特に気温の年較差が大きい、中部地方や北海道の内陸部
  • 瀬戸内気候区: サンベルトの中で瀬戸内海に面した地域

この気候分類に「暖かさの指数」による4分類、「亜熱帯」、「冷温帯」、「温暖帯」、「亜熱帯」を加えて日本の気候について説明を加えている。

まあ、いろいろ記述してきたが、結局のところ、定説なしということ。用途によって独自の区分を利用するということになりそうである。

<2010年1月27日加筆>
この記事へのアクセスが多いようなので追記。
中村和郎、木村竜治、内嶋善兵衛『日本の気候』(岩波書店、1986年)で紹介されている気候区分の図を改めて描き起こしてみたのでご高覧ありたい:
Japan4


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