世界の研究所から:楽知ん研究所
今日はネット上にある研究所を紹介する。小生のことだから大学とか企業とかの研究所を紹介するわけがない。今回紹介するのは「楽知ん研究所」。名前は変だがちゃんとしたNPO法人である。
「楽知ん」とは、「楽しい知」という意味だと言う。そして、この研究所は「大道仮説実験」と称する、エンターテイメント性の高い実験の実施と普及を目的としている。代表的な大道仮説実験としては、力学実験「ころりん」、静電気実験「びりりん」、真空実験「しゅぽしゅぽ」などが行われていると言う。
ただ遊んでいるように見えるが、宮地祐司 「楽知ん研究人宣言」によれば、次のようなことが主張されている:
科学が職業化することによって,たのしい科学の伝統は,全く断ち切れてしまったように見える。
しかし現在は、
食うだけに働くだけでない時代になっているのだ。そこで,〈週末の楽知ん研究人〉という概念を提案したい。そして,その〈楽知ん研究人〉が集まる「楽知ん研究所」というネットワークをつくってしまったら,楽しいではないか。非週末はそれぞれの仕事を持ちながらも,日々の仕事が終わってから,あるいは週末の休日は,自分は「楽知ん研究所の研究員である」と自覚的に考えてみよう。〈週末の楽知ん研究人〉として,1600年代からのイギリスの楽しい科学の伝統を復活させようというわけである。
つまり、この研究所は「科学を素人に取り戻す」という崇高な理念を持っているわけである。
この研究所は大道仮説実験の実施だけでなく、科学史の研究なども進めている。その成果は「初等科学史研究MEMO」という出版物にまとめられている。たいしたもんです。
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