常温核融合復活か?
その話題に触れるだけで、学会からのけ者にされる恐ろしい研究テーマがいくつかある。その一つが「常温核融合」(Cold fusion)である。
常温核融合とは、室温で水素原子の核融合反応が起きるとされる現象のことで、1989年にマルチン・フライシュマン教授とスタン・ポンス教授が「発見した」と公表した。
室温で核融合ができるのなら、夢のエネルギー源として活用できる。マスコミが飛びつき、大ブームになった。
しかしその後の追試で、実験結果が再現されなかったことから、両教授の発見は誤謬であると見なされるようになった。
今では「無かったこと」とされ、スキャンダル扱いである。権威ある科学雑誌Natureでは"Cold fusion"という言葉があるだけで掲載拒否されるとか。
しかしながら不屈の精神で、この現象に挑み続ける人たちがいる。最近では「固体内核反応」として一部の研究者によって研究が進められている。日本では北海道大学の水野忠彦助教(Wikipediaでは教授と誤記されている)が良く知られている。
で、つい最近、5月22日に荒田吉明大阪大学名誉教授によって、公開実験が成功したとのこと。本当だったら凄い話だが日経、日刊工業新聞を除き、一般のマスコミは無視。阪大(小生の母校だ)のホームページにも何ら情報が載っていない。当分常温核融合はタブーのままのようだ。
ちなみに荒田吉明大阪大学名誉教授は「常温核融合以外の分野で」非常に功績のある人(学士院ホームページ参照)のようで、阪大接合科学研究所の一角に「荒田記念館」ができている。上述の公開実験はご本人によってご本人の記念館で行われたとのことである。
本件に関しては、「Baatarismの溜息通信」や「シートン俗物記」でも取り上げられているので、参照のこと。
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コメント
阪大の荒田教授
【常温核融合 5月22日 公開実験映像】
1.説明(44分)
http://video.google.com/videoplay?docid=-5242568651652305169
2.実験(31分)
http://video.google.com/videoplay?docid=-7962272847393451248
3.質疑応答(16分)
http://video.google.com/videoplay?docid=-6764098365227508856
投稿: カオス | 2008.07.15 02:41