資本主義に徳を求めてはならない:コント=スポンヴィル『資本主義に徳はあるか』
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第3章「資本主義に徳はあるか」読了。結構読みやすい。
要約は次の通り:
前章で示したように、経済と道徳は別の秩序をなしている。資本主義に徳を求めるのは「経済-技術-科学の秩序」を「道徳の秩序」に従わせようという考え方である。かつてマルクスは経済の道徳化を図るべく、共産主義を打ち立てたが、その試みは20世紀の終りに恐怖と経済の停滞という形で幕を閉じた。一方で資本主義陣営は道徳とは無関係な形で、つまり経済をそれ自身が持っている秩序に従って展開させることにより、繁栄を享受するようになった。もちろん、搾取や格差は依然として存在している。しかしこの是正をもともと道徳とは関係のない「経済の秩序」に求めるのは間違いである。
「主体である私たちこそが道徳的存在になるべきであって、制度にすぎない経済にそのかわりを求めてはならないのです!」(92ページ)
現在の経済システムに不道徳なものを感じるのであれば、経済システムに自己修復を求めるのは間違いで、道徳の観点から、政治と法を動かして、経済システムを掣肘しなくてはならないということであろうか?
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