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2008.03.06

中国の軍事力に関する年次報告書

小生の下には、福岡アメリカン・センター・レファレンス資料室から随時メールが送られてくるのだが、今回は「中国の軍事力に関する年次報告書」に関する情報提供だった。

3月3日に国防総省が議会につぎの報告書を提出したとのこと(30メガほどあるので、むやみにクリックしないこと):
Military Power of the People's Republic of China 2008
Department of Defense, March 2008 (PDF 29.67 MB, 56 p.)

ダウンロードして「点検読書」してみたが、要所要所にグラフや地図が掲載されており、わかりやすいものになっていた。例えば、中国の軍集団、空軍基地、海軍基地の配置が掲載されている。台湾との軍事力比較表もある。あと、中国国土が7つの軍管区に分かれていることも知った。これ一冊ちゃんと読めば、今年一年間は中国の軍事に関する評論家になれそうである。

絵だけ見るのもなんなので、エグゼクティブ・サマリー、ようするに忙しい人のための要約文だけは読んでみた。以下、小生の要約:

合衆国としては平和で豊かで安定した中国の興隆を歓迎する。しかし、中国の将来の路線、とくに軍事力の増強とその目的に関しては、不明確なものがある。

人民解放軍は「領土防衛戦争のための大兵力」から「中国周辺における紛争発生時に短期間でハイテク国家に勝利する軍隊」へと考え方を転換している最中である。中国の海外派兵能力は限られているが、2006年発行のQuadrennial Defense Review Reportには「中国は将来的には合衆国に軍事的に拮抗し、また長期的には合衆国の伝統的な軍事的優位性を相殺しうる破壊的な軍事技術を打ち立てる可能性がある」と書かれている。

中国が現在着目しているのは「台湾海峡有事」への準備である。これには合衆国の介入も想定されている。「台湾海峡有事」への準備が軍事力の近代化の駆動力となっている。しかし、中国の兵器購入や戦略思考を分析したところ、北京の中枢部は軍事力を他の紛争、資源争奪紛争や国境紛争にも行使するために近代化を進めているようである。

中国の軍事改革のスピードと範囲は近年増加している。海外から最新鋭兵器が購入され、中国国内の防衛産業や科学技術産業への投資が継続されている。中国の軍事力の膨張と発達は東アジアの軍事バランスを変え、アジア・太平洋を超えて世界に影響を及ぼすものとなりつつある。

大陸間ミサイルDF-31等の開発に見られるような、核軍事力の近代化は中国の戦略的打撃能力の強化を意味する。また、巡航ミサイルや中距離弾道ミサイルの開発、2007年1月の衛星破壊実験の成功などは、中国のAnti-access / area denial capabilities(接近抑制能力または介入阻止能力)が陸海空から宇宙、電脳空間まで広がったことを示している。

国際社会は中国の軍事力の近代化を支える動機、意思決定、主要能力についてほとんど情報をもっていない。にもかかわらず、中国の指導部は軍事力の近代化の目的や目標について詳細には語らない。例えば、中国は防衛費に関する不完全な説明や、政策と整合しない活動を続けている。中国の防衛・安全保障活動の不透明さは誤解を増加させ、安定性へのリスクとなっている。この状況は必然的に不測の事態への防衛手段へとつながる。

やはり、中国の台頭は、軍事面でも大変な脅威になっていることがわかる。中国は何をしたいんでしょうね。

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コメント

図を見るだけでも背筋が寒くなるようなレポートだと思いました。

投稿: tsubamerailstar | 2008.03.07 16:03

人民解放軍近代化の実態が不透明であることは、中国指導部にとっては軍事力への過信や周辺国の反応の軽視につながり、結果として危機に至るであろうとレポートに書いてありました。

中国自身にとっても周辺国にとっても正確な情報を公表し続けることが必要であろうと思います。

投稿: fukunan | 2008.03.07 17:18

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