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2008.01.23

内容はいいのに、翻訳が駄目

せっかくの内容なのに、翻訳が悪くて・・・、と思うのがこの本である:

論文の技法 (講談社学術文庫)論文の技法 (講談社学術文庫)
ハワード・S. ベッカー パメラ リチャーズ Howard S. Becker

講談社 1996-09
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内容は面白い。論文執筆者の心理分析や研究者の世界に関する社会学的な考察があり、単なる論文執筆マニュアルに終わっていない。いくつかの興味深い考察を、要約して紹介すると以下の通り:

○学生が論文を執筆するときに、ずいぶんと畏まった非日常的な文章を書いてしまう理由: 学生は研究者社会の一員として認められる証しとして非日常的な言語を使いたいのである

○なぜ論文を書き始められないのか: 一回かぎりの草稿で済ませよう、あるいは最初から完成版を目指そうという心理が働いているから

このように、研究者から見ると面白い話題が取り上げられているものの、翻訳の文体のせいで読むのがしんどい。

しんどい文章の例を示す:

若い研究者は、時間がどんどんすり抜けていってしまうのに気づくでしょうし、自分が書かなければならない著作物がどのくらいあるかが学部学生時代よりもはっきりしたものでなく、それをこなしていない自分に気づくでしょう。(52ページ)

しかし、私たちはしばしば、論理的でなくともまったく理性的に、筆者は明らかにこの分野のことを(ベーグル製造者組合のプレジデントを含めて)知っているという理由から、あるいは、私たちが尊敬する一般的な文化的洗練さをもつという理由から、ある議論を受け入れるでしょう。(82ページ)

一読して理解できる人いる?

翻訳は駄目だが、それを乗り越えれば優れた内容に触れることができる本である。

とはいえ、誰かもう一度翻訳してくれないかな。

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