『高学歴ワーキングプア』の情報補足
先日、『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)を読んだ。今日の記事はその内容を捕捉する情報を書いておこうと思う。
高学歴ワーキングプア 「フリーター生産工場」としての大学院 (光文社新書) | |
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文部科学省が公表している『平成18年度学校基本調査(確定値)』を基に、博士課程修了者の就職率を計算してみるとこのようになった:
平成18年3月の
博士課程修了者数:15,973人
就職者数:9,149人
就職率:57.3%
『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)に記されていた数字と少し違うが、同書出版後に調査がまとまり数字が確定したのではないかと思われる。
性別、出身校別、分野別で就職率を計算すると次のとおりである。
修了者 就職者 就職率
(性別)
男子合計 11,702 7,049 60.2%
女子合計 4,271 2,100 49.2%
(出身校別)
国立男子 8,528 5,208 61.1%
国立女子 2,901 1,439 49.6%
公立男子 592 373 63.0%
公立女子 226 119 52.7%
私立男子 2,582 1,468 56.9%
私立女子 1,144 542 47.4%
(分野別)
人文科学 1298 367 28.3%
社会科学 1302 529 40.6%
理学 1522 730 48.0%
工学 3679 2181 59.3%
農学 1056 545 51.6%
保健 4920 3741 76.0%
商船 0 0
家政 58 28 48.3%
教育 334 163 48.8%
芸術 140 20 14.3%
その他 1664 845 50.8%
全体の就職率57.3%を基準とし、これ以下の就職率のところにアンダーラインを引いてみた。
明らかに
- 女子不利
- 私学不利
- 文系不利(工学、医学など「実学系」有利)
ということが言える。
このような現状を変えることも大事であるが、そういう努力と同時に、博士課程に進もうかと思っている学生は、統計学的観点から、分野や大学の選択を考えることも必要であろうと思う。
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