ノーベル賞学者の弁解
昨日の話題の続き。BBCの報道内容から適宜抜粋すると以下の通り:
かのDNA二重らせん構造の解明でノーベル賞を受賞したワトソン博士は、今回、新著の紹介のために渡英していたとのことである。ある英国の新聞のインタビューの中で、アフリカ人がヨーロッパ人よりも知的に劣っているかのような発言をしていたのが今回の事件の引き金となった。Sunday Timesのインタビューでワトソン博士はアフリカの展望は暗いと延べ、なぜなら「われわれの社会では、アフリカ人の知能はわれわれと同じであるということを前提にして政策を立てているものの、あらゆるテストはそれが事実ではないことを示している(all our social policies are based on the fact that their intelligence is the same as ours - whereas all the testing says not really)」からだと述べている。
さらに砕けた表現で、万人が同じであれば良いのだが、「黒人を雇用した人々は、そうでないことに気付く」とも言っている。
ちょうど同じ頃にゲノム解析でおなじみの科学者兼ビジネスマンのクレイグ・ベンターが、これまた著書のキャンペーンのため英国に来ており、ワトソン博士を次のように批判した。
「肌の色を人種の代わりとして見なすのは社会的な概念で科学的な概念ではない。肌の色が知性の指標であるなどという考え方には、科学的事実にも遺伝コードにも根拠が無い。」
クレイグ・ベンターはヒトゲノム解析競争では風雲児というか問題児扱いで、学者の間では白い目で見られていたりしたのだが、今回はまともなことを言っている。
その後、ワトソン博士はインディペンデント紙で「人間がなんでもかんでも普遍的に同じというのは違うと思う。頭が言い悪いということを言いたかったのではなく、人はそれぞれなぜ違うのかということについて述べたかったのだ」と弁解している。最初からそう言えば問題はなかったと思うのだが、おそらく、本音が出てしまったのだろうと思う。
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