石井 淳蔵 『マーケティングの神話』
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著者は神戸大学大学院経営学研究科の教授である。「ヒット商品は科学的な調査・分析によって理論的に生みだされた」という言説は、開発現場での経緯と合致しないことが多いということを著者は指摘する。
著者が提示するのは、商品開発には「論理・実証型」と「意味構成・了解型」の二つのタイプがあるということである。先に述べた言説は「論理・実証型」の商品開発を指しており、消費者が確たる要求を抱いている場合には妥当な言説である。しかし、そうでない場合には、開発者が消費者から発せられる予
兆を感じ取って、消費者にとっての商品の意味を構成し、その商品に対する消費者の了解・支持を得るという「意味構成・了解型」の手法をとらざるを得ない。この開発手法では、文化的背景や「商品が欲望を規定する」という反作用を理解する必要がある。
著者が提示した、このような新しい概念は、過去の経験や見聞に照らして比較的納得できるものだった。
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